9月のマネーストック「M3」3.1%増。伸び率縮小
2015年10月16日 16:18
日本銀行は14日、9月のマネーストック(旧マネーサプライ、通貨供給量、月中平均残高)の速報を発表。それによれば、代表的な指標の1つで、現金や国内銀行への預金など世の中に出回る通貨の合計を示すM3の月中平均残高が、前年同月比3.1%アップの1227兆2000億円であったことがわかった。銀行の貸出の伸びが鈍化したことや、株式相場の下落により割安な銘柄を買おうと預金の引き出しが増加したことによりM3の伸び率が鈍り、7ヶ月ぶりにマイナスとなった。また伸び率も前月よりも0.3ポイント縮小した。8月のM3は前年同月比3.4%アップという結果であり、1年7ヶ月ぶりの高水準であった。
M3の内訳を見てみると、普通・当座預金の残高を示す「預金通貨」は前年同月比5.2%アップの530兆3000億円で、前月の前年同月比5.8%アップよりも伸び率は縮小した。消費税の納付額の増加、貸出が増加ペースで縮小したことなどが影響した模様。そのほか、株式相場の下落により株式の買い増しのために預金の引き出しが増加したことも影響した。「現金通貨」は前年同月比5.9%アップの87兆3000億円で、前月の前年同月比5.3%アップよりも伸び率は伸長。9月にはシルバーウイークもあったために現金の利用が増加。調査を開始した2004年4月以来、最大の伸び率となった。
M3に投資信託や国債を加えた「広義流動性」は、前年同月比4.2%アップの1624兆6000億円であった。M3のマイナスを背景に、「広義流動性」も前月の前年同月比4.7%アップから伸び率が縮小した。円安の一服により外積の円換算した評価額が減少したことも影響した。M3からゆうちょ銀行などを除いたM2は、前年同月比3.8%アップの910兆5000億円で、こちらも前月の前年同月比4.2%アップから伸び率が縮小した。日本銀行はM3およびM2の伸び率の低下に関して、伸び率が徐々に高まっているという大きな傾向に変化はないとしている。
マネーストックは、金融機関から融資などを通じて企業や個人に流入した通貨の量を示す。(編集担当:滝川幸平)