魚油に多く含まれるオメガ3脂肪酸は、皮膚アレルギーを改善する―京大・椛島健治氏ら
2015年10月13日 22:10
京都大学の椛島健治教授、本田哲也特定准教授らの研究グループは、魚の油に多く含まれるオメガ3脂肪酸由来の脂質が、皮膚のアレルギー反応を改善させることを発見した。
魚油に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)といったオメガ3脂肪酸は、古くから様々な病態において炎症を抑制する作用があることが知られていた。しかし、その抗炎症作用のメカニズムはいまだ不明な点が多く残されている。
今回の研究では、まず、マウスの皮膚にアレルギー物質を塗り、皮膚炎を誘導したところ、レゾルビンE1の投与によって皮膚炎が抑制されることが分かった。次に、レゾルビンE1の生体内での作用機序を検討したところ、レゾルビンE1の投与により皮膚の樹状細胞の動きが低下すること、樹状細胞の動きが低下する結果として、かぶれ反応を引き起こす「T細胞」という免疫細胞の活性化が障害されることが明らかになった。
研究メンバーは「今回の我々の研究を介して、オメガ3脂肪酸が皮膚アレルギー反応を改善させうること、またそのメカニズムを、世界で初めて証明しました。今回の研究成果に基づき、オメガ3脂肪酸をターゲットとしたアレルギー疾患の新たな治療法の開発が今後期待されます」とコメントしている。
なお、この内容は「The Journal of Experimental Medicine」に掲載された。論文タイトルは、「Resolvin E1 inhibits dendritic cell migration in the skin and attenuates contact hypersensitivity responses」。