医師の8割「患者から暴力あり」「救急外来なら当たり前」の声も
2015年10月12日 11:14
医師の約8割が、患者やその家族から暴力行為を受けたことがあるという。医師専用コミュニティサイト「メドピア」が会員医師らを対象にアンケートを取ったところ(回答3880件)、こんな痛ましい結果が明らかになった。
「暴言を受けたことがある」医師は、全体の60%。相手は、「認知症患者」「精神病患者」「酔っ払い」などのほか、「混雑し、待ち時間が長かったとき」との例も挙がった。「暴言・暴行を受けたことがある」は18.1%で、「精神科をやっていれば必ず遭遇する」「救急外来でアル中に殴られた」「胸ぐらをつかまれた」といったコメントがあった。一方で、「まったくない」は5人に1人の21.9%
「暴言を受けたことがある」医師たちのコメントからは、様々なケースがあることが分かる。「夜間救急当直中に飲酒、酩酊患者から暴言を受けたことがある(一般内科)」、「救急外来だとお互い初見なので、そういうトラブルはたまにある。向こうが治療法を指定してきて、それを断るとトラブルになることも(循環器内科)」などの声が聞かれた。また、「命の危険を感じることもありました。何度か医師を辞めようと思いました(整形外科・スポーツ医学)」という人もいれば、「30年以上医師をやっていますが、平均年3~4回でしょうか(一般内科)」と、具体的なコメントもある。
さらに「暴言・暴行を受けたことがある」医師たちからは、「3回ほど殴られました。アル中、精神疾患の方から(小児科)」とか、「何度もあります。治らない患者を治療している仕事の関係で仕方がないことと考えています(放射線腫瘍科)」などの声が聞かれた。
「救急医療の経験がある人で、『暴言』を受けたことがない人なんていないでしょう(麻酔科)」「20年以上医師をやっていれば経験します(神経内科)」など、「ある程度は仕方がない」と捉えている医師も多い。が、「飲酒後の方に殴られ、眼鏡が壊れた(脳神経外科)」など、深刻なケースも見逃せない。
暴力には「ひるまず、毅然とした態度で対応する」という医師もいる。一方で、第三者を入れて冷静に話し合ったり、緊急を要する場合は病院内の安全部門への通報や、警察を呼んだりすることもあるようだ。医療の現場はますます苛酷さを増している。(編集担当:北条かや)