日本のモノづくりの底力! からくり改善展2015 盛況のうちに幕
2015年10月10日 22:31
去る10月1~2日の2日間、国内企業各社の製造現場での「からくり改善」が一堂に会する「からくり改善くふう展2015」(主催:公益社団法人日本プラントメンテンナンス協会)が、愛知県名古屋市の「ポートメッセなごや」で開催された。
同展示会は1993年度より開催されているもので、20回の記念すべき開催となる今年は延べ80社以上が出展し、関連業界以外からも多くの来場者で賑わう過去最大規模の展示会となった。盛況の背景には、IT技術の導入によるハイテク化と並行して、とくに製造業界で注目が高まるLCA(ロー・コスト・オートメーション)がある。お金をかけずに創造力で「からくり」を考案して作業を改善する「からくり改善」は、まさに日本のモノづくりを下支えする技術といえるだろう。
同展示会では、出品作品の中から、より優秀な「からくり改善」に対する賞を贈っており、今回の最優秀からくり改善賞は、トヨタ紡織株式会社<3116>の「絶叫からくりフリーフォール」が受賞した。同作品はテンビンとテコの技術の応用で、空箱を下から上昇させて段の取り換えを行う装置で、会場でも大きな注目を集めていた。同社は他にも、台車の重さを利用して、傾斜したスロープを自重で移動でき、自動で実空入れ替えをする「スペーシー2015」など、多彩なからくり作品の展示を行った。
さらに、優秀からくり改善賞には、株式会社デンソー<6902>による、ロール状のビニールを定寸で、安全に素早くカットできる「CutKit」とトヨタ自動車株式会社<7203>による、ボールとすり鉢状の板の組み合わせでチャックが自由に動いて原位置に復帰するリンク機構「蟻地獄」が選ばれた。他にも、住友理工<5191>の「コロコロペッタン 1ま~い、2ま~い」などは、手袋をしながら防錆紙を1枚ずつ取るのが大変という、現場の「あるある」な悩みを、安価な粘着ローラーなどを組み合わせることで解消した「からくり改善」で、材料費はたったの1054円と聞いて、来場者の驚きを誘っていた。
製造業の現場だけでなく、世界中で急速にIT化、デジタル化が進んでいる。それは決して嘆くことではないが、各社が金でなく知恵を絞って生み出した「からくり改善」を見ていると、日本のモノづくりの底力とたくましさを感じずにはいられない。(編集担当:藤原伊織)