15年度上期の「チャイナリスク」倒産は40件 前年比で1.3倍に
2015年10月8日 11:51
世界第2位の経済大国に成長した中国。潜在的な市場が魅力であるが、景気減速や商習慣の違いなど「チャイナリスク」が高まっている。東京商工リサーチの調査によると、2015年度上半期(4~9月)に「チャイナリスク」を要因とする企業倒産は40件(前年同期30件)発生し、前年同期に比べ1.3倍増だった。
また、倒産には集計されないが事業停止や破産準備中などの「実質破綻」は9件(同0件)。両者を合算したチャイナリスク関連破綻は上半期49件(同30件)と大幅に増加した。倒産企業は卸売業が25件と全体の62.5%を占めた。また、負債額別では10億円以上が10件(同1件)と急増、チャイナリスクは中堅規模に影響が広がっていることがわかったとしている。
2015年上半期にチャイナリスクが影響した倒産は40件(前年同期30件)発生した。2015年1~3月は9件にとどまり、4月以降の急増が目立つ。経営破綻(倒産+実質破綻)は49件(前年同期30件)で、企業経営に深刻な影響を及ぼしつつあるとしている。最多はコスト高が30件で、全体の75.0%を占めた。コスト高の倒産が前年同期の17件から倍増した。労使問題、売掛金回収難、中国景気減速は各1件の増加。前年同期に6件発生した反日問題の発生はなかったとしている。
また、産業別では、卸売業が25件で前年同期の11件から大幅に増加した。前年同期に発生がなかった小売業は2件発生した。一方、製造業は14件から10件に減少した。業種別では、製品の輸入や製造委託などで中国と密接な関わりを持つ、繊維・衣服等卸売業が13件で最多。次いで、その他の卸売業が4件。原皮価格の高騰や人件費上昇が影響したとみられる、なめし革・同製品・毛皮製造業が3件。機械器具卸売業、飲食料品卸売業、食料品卸売業も各3件だった。
地区別では、関東が16件で最多。次いで、近畿10件、中部9件と続き、北海道、北陸、中国、四国、九州は各1件だった。東北は発生がなかった。東北は、復興特需により倒産自体が抑制されており、チャイナリスクの影響も他地区に比べ低いとしている。
チャイナリスクを要因として倒産した企業のうち、破産を選択したのは33社(前期同期比9件増)だった。特別清算も含めた消滅型は、前年同期の25件から33件へ増加した。再建型は民事再生法のみで、第一中央汽船、江守グループホールディングス、岩﨑の3社だった。
負債は10億円以上が10件発生し、前年同期の1件から大幅に増加した。1億円以上は、21件から32件へ増え、構成比は80.0%を占めた。一方、1億円未満は9件から8件へ減少した。ここにきて東証一部上場2社を含め、中堅クラス以上の倒産が目立ってきたとしている。(編集担当:慶尾六郎)