総合商社、地方でのビジネスを強化

2015年10月4日 19:46

 総合商社が地方ビジネスを強化しつつある。安倍政権が地方創生を重要課題として推進しつつあるのに対応し、新たなビジネスチャンスを開拓している。政府は、今年4月から「地域経済分析システム」(RESAS)を提供してきたが、9月からRESASを活用して自らの地域を分析し、地域活性化のための政策アイデアを募る「地方創生政策アイデアコンテスト」を開始している。

 こうした中で、昨年末に滋賀県守山市の琵琶湖畔にある商業施設「ピエリ守山」がリニューアルオープンしたのを契機に、双日〈2768〉はその運営に参画した。「ピエリ守山」は2008年に開業したが、集客に苦戦し、一時はテナントが4店舗まで減少していた。

 双日は滋賀県で初となるカジュアル衣料品店「H&M」やドーナツ店「クリスピー・クリーム・ドーナツ」など人気店の誘致や、地域イベントの開催に協力してきた。いまや「ピエリ守山」は年間入店者数600万人を目標に掲げ、集客力拡大に努めている。さらに、「ピエリ守山」は9月から、外国人買い物客向けの消費税免税手続き代行カウンターを開設、外国人観光客誘致を推進している。

 一方、三井物産〈8031〉は8月、愛媛県宇和島市に宇和島海道を設立、養殖魚加工販売事業を開始する。宇和島海道には、三井物産とともに、高品質な養殖魚の加工・販売に取り組む「ダイニチ」(愛媛県宇和島市)と、長期冷凍保存しても品質に変化が生じにくい「超冷薫加工」と呼ばれる独自の特殊冷凍加工技術を持つ加工業者「オンスイ」(新潟県長岡市)が出資した。

 四国の海面養殖業の生産額は全国の24%を占め、特に愛媛県は日本一を誇るが、より付加価値の高い水産加工品が求められるようになっている。三井物産は、グループのネットワークを活かし、高付加価値な水産加工品の販売拡大を推進する。

 地域再生の機運が高まりつつある中で、商社の地方ビジネスへの参入がますます活発になってきそうだ。(編集担当:久保田雄城)

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