いつかは“クラウン”に、“やっとダウンサイズ・ターボ”搭載。ビッグマイナーを実施したトヨタ

2015年10月2日 16:50

 トヨタの上級セダンとして1955年のデビュー以来、日本の高級車を標榜してきた同社のクラウンが噂どおりマイナーチェンジ、それも相当に大がかりな仕様変更を受けた。

 まずはエクステリアだ。スポーティレンジを担うアスリート系は、見る角度で表情を変える立体メッシュ形状のフロントグリルを採用し、圧倒的な押し出し感をさらに強調したフロントビューを得た。フロントバンパー下端まで伸ばしたグリル枠が低重心を強調。グリル両側のバンパーはコーナーへの張り出しと、後方へ向かう立体的な造形。ワイド&ローのスタンスを強調しダイナミックさを表現しているという。

 ヘッドライトは1灯の光源でロービームとハイビームの切り替え可能な「Bi-Beam LEDヘッドランプ」とし、デイライト機能付の面発光LEDクリアランスランプと組み合わせて精悍さと先進性を強調した。リヤランプにも変更が加えられた。ひと回り大きなリング形状テールランプとして深みのある立体感を表現したという。

 一方、法人需要が多いとされるロイヤル系は、フロントバンパーに厚みを持たせ、グリル横の立体感を際立たせたことで、より上質感を表現したフロントビューなった。ロアグリルをこれまでよりも低めにレイアウトし、中央部より両サイドに伸びたクローム加飾がフォグランプを囲むように配置。上質さと低重心を強調しながら、コンサバティブな顧客層でも安心して乗れる意匠を狙った。

 今回の大規模マイナーチェンジの最大のニュースは、アスリート系のパワーユニット変更だ。遂に噂となっていた2リッター直列4気筒DOHCターボエンジン、つまり“ダウンサイジングターボ”「8AR-FTS」が搭載されたことだ。このユニットは、水冷シリンダーヘッド一体型エキゾーストマニホールドとツインスクロールターボチャージャーの組み合わせにより、ターボチャージャーの優れた過給効率を実現。コンパクトな水冷式インタークーラーの採用によって、エンジンの熱負荷に左右されず、運転状況に応じた吸気冷却効果を発揮することで、最大トルクを1650~4400rpmの幅広い回転域で発生させるほか、駆動力統合制御システム(DRAMS)を備えた8速オートマティックトランスミッション(8 Super ECT)を組み合わせ、アクセル操作に対する瞬時のレスポンスや気持ちの良い加速感を実現したという。このユニットの最高出力は235ps(173kW)/5200〜5800rpm、最大トルクは35.7kg.m(350Nm)/1650~4400rpmとなる。

 クラウンのもうひとつのニュースは、世界初の技術としてITS専用周波数(760MHz)を活用したITS Connectを採用したこと。クルマに搭載したレーダーや単眼カメラなどのセンサーでは捉えきれない情報や信号などの情報を、道路に設置されたインフラ設備とクルマ、あるいはクルマ同士が直接通信し、ドライバーに知らせることで安全運転を支援するというシステムだ。

 そこには、クルマと道路に埋め込まれた情報を通信で繋ぐ路車間通信システム(DSSS:Driving Safety Support Systems)、加えて先行車が通信利用型レーダークルーズコントロール対応車両の場合、車と車間通信により取得した先行車両の加減速情報に素早く反応して、車間距離や速度の変動を抑え、スムーズな追従走行を実現する車と車を結ぶ通信システム(CVSS:Connected Vehicles Support Systems)を組み合わせて搭載している。

 マイナーチェンジしたクラウンで最も気になる2リッターターボを搭載したアスリート系の価格は、アスリートTの388.0万円、アスリートS-Tの450.0万円、アスリートG-Tの533.0万円だ。(編集担当:吉田恒)

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