【村山貢司の気象&経済歳時記】外国人観光客急増のハザマで肩身の狭い日本の高齢者
2015年10月1日 09:36
■高齢者は円安で外国旅行から国内観光だが宿が取れず山へ向く
秋晴れの一日、富士山を眺めに山梨県の三ツ峠に登ってきた。平日にもかかわらず、山は高齢者のグループで賑わっていた。帰りの富士急行の電車の中は乗客の8割以上が外国人であり、平日の観光が日本人の高齢者と外国人によって支えられていることを実感した。
観光庁の統計によれば、8月の訪日外国人の数は181万人を超え、前年比で約64%の増加である。1月から8月の総数は1287万人余りで、2014年の1341万人に迫っている。観光地で感じるのはこれだけ多い、外国人観光客に対する施設やサービスが客の増加に間に合っていないことである。富士急の車内でも多くの外国人が立ったままであり、JRへの乗り換えでも案内が日本語だけであった。9月はアジア各国で休暇があったので、さらに訪日数は増加していると推定され、観光立国を目指す日本としては政府が先頭に立って早急な対策を行う必要があるだろう。
一方、元気いっぱいの日本人高齢者であるが、山登りに来ていた何人かに話を聞くと、以前は海外に遊びに行ったが最近は山が多いという。理由は円安によって海外旅行のメリットがなくなったことで、実際8月までの日本人の出国者数は前年より6%近く減少している。
また、国内旅行はホテルや旅館の値上がりと予約が取りにくいことから敬遠されているらしい。特に独身の高齢者は旅館などから敬遠される傾向があり、旅をしにくいらしい。平日に客の少ない観光地では、高齢者をどのように取り込むかがポイントになるのではないだろうか。(村山貢司=気象予報士・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)