VW問題はすべてのディーゼルを否定するわけではない。メルセデスCクラスにディーゼル搭載車
2015年9月30日 11:13
9月(2015年)も下旬になって世界の自動車業界だけでなく産業界で衝撃のニュースが流れた。独・フォルクスワーゲン(VW)が、米国内で販売していたディーゼル乗用車で、排ガスに関する試験をクリアするために、違法なソフトウエアを使っていたとされる事件のことだ。
VWディーゼル車の問題については今後の調査で実態が明らかにされるはずだ。が、この一件があったからと言って、世界の自動車企業が供給している「クリーンディーゼルエンジン」の環境性能や省燃費性能の高さが否定される訳ではない。
VW問題の報道が毎日のように更新されるなか、同じドイツの盟友であるメルセデス・ベンツが、日本市場向けて同社ブランドでいちばん小さなセダン&ステーションワゴンである「Cクラス」にクリーンディーゼルエンジンを搭載した「C220d セダン&ステーションワゴン」を発表し、受注を開始した。発売は10月からの予定だ。
メルセデス・ベンツのクリーンディーゼルエンジンは、排出ガスに尿素水溶液「AdBlue(アドブルー)」を噴射して化学反応(還元作用)させ、有害な窒素酸化物(NOx)を大幅に削減する尿素SCR(Selective Catalytic Reduction/選択型触媒還元)ディーゼル排出ガス処理システム(メルセデスで「BlueTEC」と呼称)を採用。世界でも厳しいとされる日本のディーゼル排出ガス規制に適合する優れた環境性能を実現している。先日、発売されたトヨタ・ランクル・プラドに搭載するディーゼルエンジンも同じシステムを採用してNOx低減を図っている。
今回、Cクラスに搭載するメルセデス最新の2.2リッター直列4気筒BlueTECエンジンは、ピエゾインジェクターを用いた最新世代のコモンレールシステムを採用。さらに、大きさの異なる2基のターボチャージャーへの排気の流れを可変フラップにより制御し、ターボラグを解消しながら必要なブースト圧を引き出す2ステージターボとするなどの先進テクノロジーを詰め込んだエンジンだ。その最高出力は170ps、最大40.8kg.m(400Nm)の太いトルクを利した力強い動力性能を獲得している。
組み合わせるトランスミッションは、Cクラスとして初めて9速オートマティックトランスミッション「9Gトロニック」を採用。現在市販されているトルクコンバータ式トランスミッションの中で最も変速段数が多いこのトランスミッション。これによって、変速ショックを抑えながら、エンジン低回転域の太いトルクを活用し、静粛性の高さと省燃費を高いレベルで両立した。
そのJC08 モード燃費は、C220dアヴァンギャルドが20.3km/リッター 、C220dステーションワゴン・アヴァンギャルドが19.6km/リッターとクラストップレベルの低燃費を実現した。また、今回追加となる4モデルすべてが新エコカー減税の優遇(重量税、取得税免税)および自動車グリーン税制優遇措置(翌年度自動車税75%減税)の優遇をうけることができる。また、クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金の対象で、上限額2万円が交付される。
価格はC220d アヴァンギャルド・セダンが559.0万円、同ステーションワゴンが595.0万円。ステーションワゴン・スポーツが641.0万円、同本革内装仕様車が679.0万円となる。(編集担当:吉田恒)