Webは広告ブロックによる緩やかな死を迎えるのか

2015年9月22日 13:11

iOS 9ではSafari向けの広告ブロック拡張機能を提供できるようになったことから、広告ブロックをめぐる議論が白熱している(VentureBeatの記事The Guardianの記事)。 広告ブロック拡張機能はiOS 9がリリースされた直後から人気を集め、複数がApp Storeの有料アプリランキング上位に登場。米国の有料アプリランキングではiOS 9リリースから24時間経たないうちに、トップ5の3つを広告ブロック拡張機能が占めたという(The Vergeの記事The Guardianの記事)。 しかし、最も人気があった「Peace」が2日間で公開を終了。開発者のMarco Arment氏はPeaceの問題点として、すべての広告をブロックしてしまい、柔軟な処理ができない点を挙げている。これにより、広告によるサポートが必要なコンテンツにも影響を与えてしまうことを懸念しているようだ。問題を解決するには自分ができることよりも複雑なアプローチが必要だとも述べており、より優れた「Purify Blocker」や「Crystal」の使用を推奨している。9月21日夕方の時点では米国の有料アプリランキング1位はCrystal、Purifyは3位となっており、Crystalは日本の有料アプリランキングでも1位になっている。Peaceの購入者はそのまま使い続けることもできるが、返金手続きを行うことも可能だ(Marco.orgの記事BetaNewsの記事)。 The Vergeの記事ではiOS 9でのコンテンツブロックサポートについて、広告を大きな収入源とするGoogleへの攻撃だと指摘。Web広告をブロックする一方で、広告のブロックができない「Apple News」にパブリッシャーを誘導しているとも述べている。しかし、このような争いの影響を最初に受けるのは、独自プラットフォームでの記事配信やネイティブ広告への投資が難しい小規模なパブリッシャーだという。また、広告の規模が縮小し、注目度が低下すれば、Webでのイノベーションの速度も低下する。これにより、Webはゆっくりと死に近づいていくだろうと述べている。 スラドのコメントを読む | アップルセクション | Google | インターネット | ソフトウェア | 広告 | Safari | 論説 | アップル | デベロッパー | iOS | お金

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