スマホの充電が4倍速! TVやノートPCへも給電可能なUSB Type-Cが登場

2015年9月19日 21:35

 「充電器や通信コネクタって、どうして共用できないんだろう?」

 製品ごとに異なる充電器や通信コネクタ。新しい電子機器を購入する度に、コンセント周りには種類の違う充電器が増えていく。そんな状況に辟易した経験は珍しくないはずだ。

 近年、世界規模で産業廃棄物の削減が唱えられており、充電器や通信コネクタについても世界共通、全ての電子機器で共通化可能な製品が求められている。そんな中、世界的に注目されているのが、USB規格団体「USB Implementers Forum, Inc.」」が普及を目指す、小型で表裏の区別なく使用可能な「USB Type-C」、そして電力拡張規格「USB Power Delivery(以下USBPD)」だ。

 電子機器に疎い人でもUSBくらいは知っているだろう。今や、パソコンやスマートフォン、タブレットPCなどにおいて、USB端子は不可欠なものになった。USBは多くの電子機器でデータの転送と受給電を同時に行える世界共通のインターフェース。しかし、これまでは、受給電できる電力が限られていたことが課題だった。USB端子から受給電できる電力が増大すれば、これまでUSB給電では不可能だった、ノートPCやTVなど大きな電力を必要とする機器でさえも駆動させることができる。そして、それはいよいよ現実のものとなった。

 ローム株式会社<6963>は16日、USB Type-CでUSBPDを実現する電力受給電コントローラIC「BM92TxxMWVシリーズ」の開発と、12月からの量産開始を発表した。同シリーズは最新のUSB Type-C規格Rev1.1とUSBPD規格Rev2.0に対応し、従来7.5Wまでの電力供給しかできなかったUSB Type-C対応機器間で、なんと最大100W(20V / 5A)までの受給電を可能にした。スマートフォンやタブレットPCにおいては従来比で約4倍以上の急速充電が可能になるほか、ノートPCやTVなど、大きなの電力が必要になる機器への給電が可能となる。しかも、テレビを介してPCへ給電したり、逆に電源に繋いだPCからテレビに給電したり、電力を分け合うことも可能だ。さらに、USB通信信号線に映像信号を通すことができるようになるAlternate-Mode制御にも対応しており、映像専用ポートが不要になるため、給電しながら映像信号も映すなど利便性の高い環境構築にも貢献するという。

 USB 1.0が登場したのは1996年。USB Type-CはUSBの20年に渡る歴史の集大成ともいえるコネクタだ。今回の「USB Type-C Power DeliveryコントローラIC」の登場によって利便性が高まるだけでなく、予想だにしないような、また新たな未来が生まれてくるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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