シルバーウィーク突入! 安全な鉄道旅を支える、日本の技術

2015年9月19日 21:36

 株式会社リクルートライフスタイルが、旅行サイト『じゃらんnet』上におけるシルバーウィーク期間(2015年9月19日(土)~9月27日(日))の宿泊予約状況、ならびに国内旅行に関して、インターネットを介して実施したアンケート調査によると、人泊数が前年比342%、平均宿泊単価は前年比119%と大幅にプラスとなることが分かった。今年は6年振りに最大で9連休も可能な大型連休となったことが、レジャー需要の大幅アップにつながったようだ。

 旅行内容の詳細をみてみると、「夫婦二人での旅行」が27.4%と断トツで、次いで「小学生以下の子連れ家族旅行」が15.4%、「一人旅」が13.2%となっている。また、旅行目的地でみてみると、北海道、東京、沖縄が人気旅行先ランキングのトップ3となっているが、前年比増加率ランキングでみると、1位が福井で2位が滋賀、3位が富山となっており、北陸新幹線開業の影響が色濃く出ているのが興味深い。

 自動車がこれだけ普及した世の中でも、やはり大型連休は鉄道が人気を集める。渋滞などで運転に気を使うことなく、純粋に旅行が楽しめるし、長距離移動でも疲れない。荷物の多い家族旅行ならともかく、夫婦の二人旅なら鉄道は最適だ。昼間からビールを片手に駅弁や地元の美味しい名物を食べ歩くのも、旅の醍醐味。車旅行では我慢せざるを得ない場面が増えてしまう。そして何よりも安全であること。事故は自分が起こさなくても、巻き込まれる場合もある。そうなったら、旅の思い出は台無しだ。その点、鉄道はダイヤが乱れることはあっても、事故は滅多に起こらない。新幹線に至っては、今年6月に起こった車内放火のような人的要因による事件などはあるものの、脱線や衝突などによる死亡事故は開業以来起こっていない。

 2004年に発生した新潟県中越地震の際、昭和39年の開業以来初めて新幹線の脱輪事故が起こり、10両編成のうち、実に8両が脱線したものの、幸いにも死傷者はなかった。当時の報告書によると、被害が最小限に留まったのは、早期地震検知警報システム「ユレダス」が動作し、初期微動から5秒後には非常ブレーキが正常に作動したこと、車両下部の部品と車輪との間にレールが挟まり、車両の逸脱が大きくならずに済んだことなどを挙げている。その後、2011年に発生した東日本大震災の際には、東北新幹線の被害箇所が約1200にも上ったにも関わらず、脱線・転覆事故はただの1件も起きていない。皮肉なことに、日本最大級の地震災害によって、日本の鉄道がいかに安全な乗り物であるかを証明することになった。

 鉄道の安全神話を支えているのは、鉄道マンの安全に対する取り組みはもちろん。日々のメンテナンス、そして世界一と称される日本の鉄道技術だ。

 例えば、新幹線の車輪やモーターを滑らかに回転させるのに欠かせない軸受(ベアリング)は、新幹線の開業以来50年に渡って日本精工<6471>が担当している。時速200キロを超える高速走行は、当時としては驚異的かつ無謀なものだったが、それを可能にしたのが、同社の軸受技術だ。鉄道業界だけでなく、車両メーカーからも高く評価され、今では国内の新幹線のみならず、イギリスや中国、台湾、韓国などの高速鉄道にも続々と採用が進んでいる。

また、高速走行の車内でも快適な住空間が保てるのは、鉄道車両用防振ゴムのお陰だ。新幹線をはじめ、国内外の鉄道車両の多くには、路面からの振動を大幅に軽減する、住友理工<5191>の鉄道車両用防振ゴムが取り付けられている。普段目にする機会はないが、電車の車内でゆっくりと睡眠をとったり、食事したりできるのは、この防振ゴムが優れているからだ。

 他にも、新幹線には、その安全神話を支える、世界トップクラスのさまざまな部品が採用されている。シルバーウィークの車窓を眺めながら、日本の技術力に思いを馳せる旅も面白いかもしれない。(編集担当:藤原伊織)

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