生命がいなくても酸素を保持する惑星が存在し得ることを明らかに―NINS・成田氏ら

2015年9月15日 16:55

 自然科学研究機構(NINS)・アストロバイオロジーセンターの成田憲保特任助教と、分子科学研究所の正岡重行准教授らの共同研究グループは、生命がいなくても酸素を豊富に保持する地球型惑星が存在しうることを理論的に明らかにした。

 これまでは、惑星に酸素がある条件として、光合成を行う生命が存在していることが必須条件のように考えられてきた。そのため、宇宙における生命探索においても、酸素をバイオマーカーにしていた。

 今回の研究では、太陽系の地球型惑星や衛星などにも豊富に存在している酸化チタンの光触媒反応によって、非生物的に酸素が発生することに着目し、地球に類似した環境の惑星を仮定した場合に、惑星表層の0.05%程度(地球でいえば北海道の面積以下)で酸化チタンの光触媒反応が継続すると、現在の地球と同程度の酸素大気が発生・維持されることを推定した。

 さらに、様々な質量・温度の恒星を主星として仮定し、その光強度による惑星での酸素発生可能量を見積もったところ、最もこのメカニズムの反応が起こりにくい低温度星の場合でも、惑星表層のおよそ3%で酸化チタンの光触媒反応が起こると、非生物的に酸素大気が発生・維持されることが推定された。

 成田特任助教は、「本研究とは独立に、系外惑星の環境でも光合成生物による酸素発生型光合成が可能なのかどうかについてや、先に非生物的に発生した酸素を保持する星で生命が後から誕生することが可能なのかどうかについても、今後のアストロバイオロジー研究として明らかにしていかなければなりません」とコメントしている。

 なお、この内容は「Scientific Reports」に掲載された。論文タイトルは、「Titania may produce abiotic oxygen atmospheres on habitable exoplanets」。

関連記事

最新記事