Wikipedia英語版の多重アカウントによる不正編集、脅迫的手法で記事の関係者に金銭を要求していた
2015年9月6日 19:19
Wikipediaでは不正な編集行為があったとして381アカウントを停止し、これらのアカウントが関わる210件の英語版記事を削除したことを8月31日(UTC)に発表している。当初Wikimediaブログでは、外部の利益のために金銭を受領し、それを明らかにせずに記事の執筆・編集を行っていたことが不正行為に当たるとしていたが、その後「金銭を受領または要求し」と変更した。ターゲットになったのは自分自身や自分の会社に関する記事をAfC(※)として投稿した人々で、詐欺的・脅迫的な手法での金銭要求も行われていたようだ(Wikipedia英語版の管理者伝言板: Long-term abuse/Orangemoody、Wikimedia Blogの記事、The Independentの記事、The Registerの記事)。 調査は7月に開始されたが、特定されたのは4月の終わりから8月の初めに編集を行ったアカウントのみであり、それよりも以前から不正な編集が行われていたとみられている。特定されたアカウントはソックパペット(不正行為を目的として使い分けられる複数のアカウント)とみられ、この件は最初に特定されたソックパペットのアカウント名から「Orangemoody」と呼ばれている。 具体的な金銭の要求の流れについては以下のようなものだ。なお、ソックパペットは記事を作成する「クリエイター」と細かい編集やレビューを担当する「ヘルパー」に分担されていたという。知名度が低い、過度に宣伝を目的とした内容といった理由でAfCが却下される。または同様の理由で記事が削除される 却下されたドラフトや削除された記事を元にクリエイターが記事を作成する 連絡担当者は経験のある編集者や管理者を名乗り、元のドラフト/記事作成者に有料で記事を掲載すると連絡 金銭が支払われるとヘルパーがレビュー済みとマークし、記事が掲載される 掲載後しばらくして、記事が削除されそうになったのを保護したと主張し、保護のための費用を毎月支払うよう持ちかける 被害者は小規模なビジネスや、それほど有名ではない有名人が中心で、The Independentの記事には実際に被害にあった人のコメントも掲載されている。 ※ Articles for Creation: アカウント登録していない人や利害関係者が投稿する記事のドラフト。英語版Wikipediaで新規記事を作成できるのは登録ユーザーのみ
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