天文衛星「あかり」、「はやぶさ2」が目指す小惑星を撮影していた=JAXAが公開

2015年8月31日 13:48

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は8月14日、赤外線天文衛星「あかり」が撮影した小惑星「1999 JU3」の画像を公開した。

 1999 JU3は小惑星探査機「はやぶさ2」の目的地としても知られる。

 この画像は2007年5月16日に撮影されたもので、約10分間の観測時間中に取得された多数の画像データの中から、波長15マイクロメートルでの画像を2枚選び出して重ね合わせたもので、約7分の間に小惑星が空を移動していく様子が写っている。

 このとき1999 JU3は、やぎ座の方向にあり、可視光での明るさは約22等級であったという。また、地球からの距離は約0.99天文単位、太陽からの距離は約1.41天文単位だったとされる。

 また画像には、偶然にも別の小惑星(67535)2000 RY100も写っていたという。

 JAXAによると、このような赤外線観測のデータと、可視光線による地上観測のデータを組み合わせることで、小惑星の大きさや表面の性質を推定することができるという。これは、小惑星の素性を明らかにするだけでなく、探査計画にも重要な情報になるとしている。

「あかり」は日本初の赤外線天文衛星で、2006年2月22日にM-Vロケット8号機によって打ち上げられた。赤外線専用の望遠鏡と2種類の観測装置を搭載し、全天にわたって赤外線源を観測することを目的としていた。目標寿命3年を超えて運用され、2011年11月24日に停波され、運用を終えた。

「あかり」は約130万天体に及ぶ「赤外線天体カタログ」を作成するなど、赤外線天文学に関する多くの成果をあげ、得られた観測データは、世界の研究者に広く利用されている。

 また現在、「あかり」の後継機となる「SPICA」の検討が、日本と欧州との共同で進められており、2020年代の後半に打ち上げられる予定となっている。

「はやぶさ2」はこの1999 JU3を目指して、2014年12月3日に打ち上げられた。現在まで順調に航行を続けており、 今年12月3日に、地球スイングバイに挑む。そして速度を上げつつ軌道も変え、2018年の6月、7月ごろに目的地である小惑星1999 JU3に到着。約1年半にわたって探査活動を行い、2019年11月、12月ごろに出発。そして2020年の11月、12月ごろに地球に帰還する予定となっている。

■AKARI | Topics | 1999 JU3
http://www.ir.isas.jaxa.jp/AKARI/topics/20150813_1999JU3/

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