名大、微生物で油を分解する装置を開発―油分解効果を可視化するデモ機も

2015年8月31日 21:19

 名古屋大学は25日、堀克敏教授らが驚異的な油分解能力を持つ共生微生物製剤を開発し、デモ機を使った実証実験を開始したと発表した。

 食品工場や油脂工場からの排水には多量の油分が含まれており、前処理設備として、加圧浮上分離装置という油を物理的に分離する装置が使われてきた。しかし、分離された油分汚泥は産業廃棄物として処理しなくてはならず、悪臭発生なども問題になっている。

 今回の研究では、油脂の分解機構に基づき、複数の微生物を共生させて、油脂の加水分解、加水分解産物の除去などの役割分担させる微生物製剤の実用化に成功した。微生物製剤は定期的に投与する必要があるものの、自動化も可能であり、排水処理工程の簡略化・省力化が可能という。

 さらに油分が除去されるため汚泥の沈降性も良くなりるため、活性汚泥処理槽や沈殿槽との相性も良く、安定な排水処理設備の運転が見込まれる。その上、初期投資とランニングコストも加圧浮上分離装置と比べて、1/3~1/2近くまで削減可能という。

 名古屋大学は、実際の排水処理現場で実証試験が可能なデモ機を製作し、実際の現場で、処理システムのパフォーマンスと油分解効果を視覚的に確認できるようになった。このデモ機を使った実証試験の協力企業を募集しており、9月4日(金)には、名古屋大学豊田講堂とシンポジオンホールで開催される「テクノ・フェア名大2015」でミニ講演と展示が行われる。

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