Windows 10が海賊版ゲームを削除するという誤解が広がる

2015年8月25日 16:33

headless 曰く、  プライバシー問題たびたび話題になるWindows 10だが、Microsoftによる海賊版ゲームの削除を可能にする条項がWindows 10のEULAに記載されているという誤解が8月上旬から広がっていた。これにユーザーのプライバシーを重視する一部のTorrentサイトが過剰反応し、Windows 10ユーザーをブロックする事態になっているそうだ(BetaNewsSoftPediaTorrentFreak)。

 8月1日に発効したMicrosoftの新しいサービス規約は、これまでサービスごとに用意されていたサービス規約を一つにまとめたものになっている。ここで更新プログラムが海賊版ゲームの使用を防止することがあるといった記述がみられるのだが、Windows 10のリリース直後といったタイミングもあり、この記述がWindows 10のEULAに記載されているものといった誤解が広がったようだ。

 サービス規約の該当部分は「7. 本サービスまたはソフトウェアの更新および本規約の変更」のbにあり、「ダウンロードされるソフトウェア更新プログラムまたは構成の変更には、お客様による本サービスへのアクセス、海賊版ゲームの使用、または無許可のハードウェア周辺機器の使用を防止するものがあります。」と記載されている。ただし、サービス規約の対象にはWindows 10にプリインストールされるソフトウェアも含まれるが、Windows 10そのものを対象にはしていない。

 Microsoftによれば同様の記述は以前から存在しているとのことで、サービス規約が統合されたことで気付く人が出てきたようだ。Microsoftの担当者はGamesBeatに対し、海賊版ソフトウェアにはセキュリティーリスクの高いものや正常に動作しないものもあると述べ、非正規ソフトウェアのリスクから顧客を守り、開発者の知的財産を守る責務を引き続き負うと説明したとのことだ。この説明では海賊版を削除する可能性は否定できないが、GamesBeatでは実際に海賊版なのか、正規に取得して改造したソフトウェアなのかを区別するのは難しいとし、誤って削除するようなことがあればWindows 10自体がセキュリティーリスクとみなされる可能性を指摘している。

 Windows 10からのアクセスをブロックしたのはPirate Bayのような大手サイトではなく、海賊版が最初に投稿されるような小規模でプライベートなTorrentサイト。こういったサイトでは海賊版を投稿するユーザーを守るため、プライバシーやセキュリティー、匿名性に敏感なのだという。iTSというTorrentサイトの告知はredditに転載されているが、Microsoftは収集した情報を海賊版対策を行うMarkMonitorなど外部企業にも送信すると述べ、さらにWindows 10ではローカルディスクの内容をMicrosoftのサーバーに送信すると主張。iTSのようなサイトにとっては重大な脅威となるため、Windows 10を8月13日からブロックし、Windows 10の危険性を伝えるYouTube動画ページにリダイレクトすると述べている。

 なお、Windows 10のEULA(ライセンス条項)はサービス規約とは別に用意されている。こちらには非正規のWindows 10に関する記述はみられるが、海賊版ゲームに関する記述は存在しない。

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