露首相の択捉訪問に抗議も、露は自国の立場説明
2015年8月23日 20:17
メドヴェージェフ・ロシア首相が22日、択捉(エトロフ)島を訪ねたことを受け、外務省は電話で抗議をした。
外務省は直ちに林肇・欧州局長からアファナシエフ駐日ロシア大使に対して電話で「極めて遺憾」と抗議の申入れを行ったと発表。これに対し、大使は「ロシアの原則的立場(自国の領土との立場)を述べた」という。
日本は「北方4島が外国の領土になったことはないが、第二次大戦末期の1945年8月9日、ソ連は、当時まだ有効であった日ソ中立条約に違反して対日参戦し、日本がポツダム宣言を受諾した後の同年8月28日から9月5日までの間に北方四島のすべてを占領した。当時4島にはソ連人は一人もおらず、日本人は四島全体で約1万7千人が住んでいたが、ソ連は1946年に4島を一方的に自国領に編入し、1948年までにすべての日本人を強制退去させた。以後、不法占拠が続いている」(外務省HP)。
日本としては「北方4島の帰属問題を解決し、ロシアとの平和条約締結を目指すべく努力する」考えで、北方4島問題については「日本への帰属が確認されるのであれば実際の返還の時期及び態様については柔軟に対応する」ことにしているほか「北方領土に現在居住しているロシア人住民については、その人権、利益及び希望は北方領土返還後も十分尊重していく」(外務省)としている。
ただ、ロシアは北方4島(ロシアの呼び名では南クリル諸島)への閣僚、首相の訪問については、日本政府の立場を考慮する考えはないとの受け入れられないとの姿勢で、実効支配を行っている。
今月14日には在日ロシア大使館がHPで『大使館からのお知らせ』項目とし、「昨今またしても日本側は、ロシア連邦政府閣僚の南クリル諸島訪問について、受け入れられない談話を発出するようになりました」とし「私たちは政府閣僚の実務日程作成にあたり、日本政府の立場を考慮するつもりはありません。着実に進行中である連邦特別プログラム2016年から2025年までのクリル諸島(サハリン州)社会経済発展の一環として実施されるものを含め、こうした訪問は今後も継続されます」と発信。
そのうえで、「日本側は根拠のない要求を公に喧伝(けんでん)することで、一般に認められた第二次世界大戦の結果をないがしろにする姿勢を改めて露呈していると言わざるを得ません。このような行動が行われることは特に深い遺憾の念を呼びます」とロシアとしての立場を表明。この発信内容からも、ロシア閣僚による北方4島への訪問は今後も続くことが予測され、日本政府の外交能力が試されることになる。(編集担当:森高龍二)