14年の新設法人は11万9,552社で5年連続増加 最も多い商号は「アシスト」

2015年8月19日 11:53

 2014年の1年間に全国で新しく設立された法人(新設法人)は11万9,552社で、5年連続で増加した。東京商工リサーチは、2014年「全国新設法人動向」調査の結果を発表した。この調査は東京商工リサーチの企業データベース(対象398万社)から、2014年に新しく設立された法人データを抽出し、分析した。

 それによると、2014年(1~12月)に全国で新しく設立された法人(新設法人)は、11万9,552社(前年比8.5%増、前年11万175社)にのぼった。新設法人数は2009年にリーマン・ショックに端を発した世界同時不況の影響により前年を下回ったが、2010年以降は5年連続で前年を上回っているとした。

 産業別の前年比では、10産業のうち運輸業を除く9産業で増加した。増加率トップは建設業の21.5%増。次いで、金融・保険業16.5%増、農・林・漁・鉱業9.5%増、不動産業9.5%増、製造業8.7%増、サービス業他6.9%増の順。建設業は景気対策としての公共事業拡大や民間工事の増加が要因に挙げている。また金融・保険業も2ケタ増で、アベノミクス効果による株高などの資金運用環境の改善を背景としている。一方で運輸業は0.9%減で唯一減少した。これは2014年前半の急激な円安進行による燃料高が影響したとみている。

 また、業種別では、前年比で電気・ガス・熱供給・水道業が81.5%増(1,816→3,296社)と前年に引き続いて高い増加率をみせた。太陽光や風力、地熱など再生可能エネルギーによる発電を目的とした法人が多く設立された。また、高齢化社会での有望業種とされる医療・福祉事業は2.2%増(7,656→7,825社)、通信・放送業が50.6%増(247→372社)、飲食業が9.6%増(6,171→6,766社)だった。一方、減少した主な業種は、飲食料品小売業が4.8%減(2,189→2,085社)、宿泊業が1.0%減(385→381社)、繊維・衣服等卸売業が0.7%減(587→583社)などだった。

 資本金別では、「1億円以上」が405社(前年比10.2%減)、「5,000万円以上1億円未満」が548社(同6.2%減)、「1,000万円以上5,000万円未満」が5,351社(同7.0%減)と減少した。この一方で、「100万円以上500万円未満」が5万4,275社(同11.0%増)と増加した。最低資本金規制の撤廃が浸透し、小規模な資本金の法人設立が目立つとしている。

 一方、地区別では全国9地区のうち東北を除く8地区で前年を上回った。増加率では、四国が12.4%増(2,150→2,417社)でトップ。次いで、近畿12.3%増(1万6,889→1万8,961社)、中国11.9%増(4,229→4,733社)、中部10.0%増(1万604→1万1,663社)、関東8.3%増(5万4,195→5万8,695社)、九州7.6%増(1万1,099→1万1,947社)、北陸6.4%増(1,555→1,655社)、北海道3.0%増(4,031→4,152社)だった。一方、復興需要に加えて、支援に関わる非営利団体の設立などで増加を続けていた東北は1.7%減(5,423→5,329社)で勢いが一服したとしている。

 そして、都道府県別では、東京都が3万5,037社(構成比29.3%)で最多だった。次いで、大阪府が1万203社(同8.5%)、神奈川県が7,870社(同6.5%)、愛知県が6,169社(同5.1%)だった。一方、新設法人数が最も少なかったのは鳥取県の310社。次いで、島根県364社、福井県397社、高知県409社、秋田県428社、徳島県が435社の順だった。

 最後に最も多かった商号は、「アシスト」の56社だった。アシストは、英語で「力を貸す、手助けする、援助する」などを意味する「assist」があり、社会に貢献するという企業理念を表しているという。次いで、「ライズ」46社、「ワイズ」42社、「サンライズ」38社、「クローバー」と「ネクスト」が各37社の順だった。(編集担当:慶尾六郎)

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