NYの視点:米住宅指標は利上げを正当化

2015年8月19日 07:14


*07:16JST NYの視点:米住宅指標は利上げを正当化

米連邦準備制度理事会(FRB)が19日にワシントンで公表する連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録(7月開催分)に市場の注目が集まっている。FOMCが9月、または、12月に利上げを開始するのであるならば、この会合で協議されているはずだ。声明では雇用が責務目標である完全雇用に一段と近づき、住宅も改善が見られる一方、インフレは低い水準で推移しているとの見解が示されたが、利上げは示唆されなかった。

米商務省が発表した7月住宅着工件数は前月比0.2%増の120.6万戸と、市場予想118.0万戸を上回り、2007年10月以降8年ぶりの最高水準となった。戸建住宅の建設が0.782と2007年来で最高水準に回復し、指数を押し上げた。全米住宅産業協会(NAHB)が発表した住宅市場指数が2005年11月以降ほぼ10年ぶりの高水準となったことに続き、住宅市場の健全性を示す戸建住宅の回復が米連邦公開市場委員会(FOMC)による利上げを正当化する。

一方、住宅建設許可件数は前月比16.3%減の111.9万戸と、市場予想の122.8万戸を下回り3月来で最低となった。NY市の税優遇措置の失効が影響している。米国北東部の許可件数は60%となり指数を押し下げた。ただ、3か月平均ではほぼ変わらず。NY市の税優遇措置の失効を控えて、4月、5月には、ディベロッパーによる駆け込み的な申請が大幅に増えたため許可件数を押し上げた。同指数は特に契約時点での統計であることから住宅着工件数の先行指標として注目される。NY市の税優遇措置という特別要因の失効が、今後の住宅市場にどのような影響を与えるか注視していく必要がある。

バークレイズ銀のエコノミストは戸建住宅着工の増加を受けて、7-9月期国内総生産(GDP)見通しを従来の2.6%から2.7%へ引き上げ。米商務省が国内総生産(GDP)の算出に使用しているモデルと類似したモデルを使用しているアトランタ連銀は7-9月期のGDP見通しを従来の0.7%増から1.3%増へ引き上げた。先週末に米連邦準備制度理事会(FRB)が発表した鉱工業生産の改善を反映。しかしながら、アトランタ連銀の数字は依然、市場エコノミストの見通しを大幅に下回ったままだ。《NO》

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