中国・天津の爆発事故、NASAなどの人工衛星が観測

2015年8月18日 16:30

 中国・天津の浜海新区で、8月12日の深夜に起きた爆発事故の様子を、NASAをはじめとする世界各国の人工衛星が観測し続けている。

 米航空宇宙局(NASA)は8月13日、事故の翌朝となる8月13日10時30分(中国標準時)に、地球観測衛星「テラ」に搭載された観測機器「MODIS」が撮影した画像を公開した。画像には、爆発によって生じたと思われる黒い煙が、天津に面した渤海の上空を漂っている様子が見える。

 さらに、その約3時間後にNASAの地球観測衛星「アクア」に搭載されたMODISが同じ地点を撮影した画像には、その黒い煙が南東の方向に移動している様子が写っている。

 MODIS(中分解能撮像分光放射計)はNASAが開発した光学センサーで、0.4~14μmの範囲を36のバンドで観測することで、雲、放射エネルギー束、エアロゾル、土地被覆、土地利用変化、植生、地表温度、火災、噴火、海面温度、海色、積雪、気温、湿度、海氷などの観測を行うことができる。そのデータは世界中に公開されており、天気予報や地球環境の研究をはじめ、今回のような大規模な事故の分析などにも用いられている。

 煙が東に移動する様子は、日本の気象観測衛星「ひまわり8号」も観測している。

 また、「ひまわり8号」や「ひまわり7号」、そして韓国の「千里眼」(COMS-1)などの静止気象衛星が、爆発が起きた直後の、現場の火災から出ている強力な熱の観測に成功している。

 米海洋大気庁(NOAA)が運用する、極軌道上を周回する気象衛星「スオミNPP」は、爆発前と爆発後に撮影した夜の天津の画像を公開し、事故現場の周辺で大規模な停電が起きていることを示している。

 こうした画像は、欧州宇宙機関(ESA)や中国などの衛星も撮影しているはずであるが、現在までに一般には公開されていない。

 天津浜海新区の爆発は、現地時間8月12日の深夜に発生した。危険物が収められた倉庫が爆発したと見られており、現在までに死者は112人にのぼり、700人を超える負傷者が発生しているとされる。

写真=NASA。

■Smoke over the Bohai Sea : Natural Hazards
http://earthobservatory.nasa.gov/NaturalHazards/view.php?id=86410&eocn=home&eoci=nh

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