理研、人工筋肉に応用可能な新しいヒドロゲルを開発

2015年8月17日 22:02

 理化学研究所の相田卓三グループディレクターらの共同研究グループは、互いに静電反発する無機ナノシートを平行に配向させて閉じ込めることにより、筋肉のように速く、大きく、方向性のある動きを繰り返すヒドロゲルの開発に成功した。

 近年、温度などの外部刺激に応答して変形し、運動や力を生み出すヒドロゲルが注目されている。金属製の電磁モーターに基づくハードアクチュエータとは異なり、軟らかく、軽く、ウェットという性質を持つため、高機能のバイオメディカル材料、究極的には人工筋肉としての応用が期待されている。

 今回の研究では、ヒドロゲルの構成要素として、典型的な温度応答性ポリマーであるN-イソプロピルアクリルアミドを選び、このポリマーでできた網目の中に、磁場により配向した無機ナノシートを埋め込み、ヒドロゲルアクチュエータを合成した。

 合成したヒドロゲルアクチュエータを50℃に加熱すると、ポリマーが脱水和してナノシート間の静電反発力が増大し、1秒以内に1.7倍伸張すること、15℃に冷却すると、ポリマーは水和してナノシート間の静電反発力は減少し、ヒドロゲルが1秒以内に元の長さに収縮することが分かった。この伸縮速度(70%/秒)は、これまで報告されているヒドロゲルアクチュエータの中で、最も高速である。

 さらに、SPring-8の放射光を用いて解析したところ、ナノシートの面間距離とヒドロゲルの長さとは常に比例関係にあり、ナノ構造とマクロ構造の変化は完全に対応していることも明らかになった。

  研究チームは、今回のヒドロゲルアクチュエータがこれまでの質と量を凌駕しており、人工筋肉の実現という夢へ近づく大きな一歩になるとしている。

 なお、この内容は「Nature Materials」に掲載された。

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