NYの視点:米国小売や企業在庫の増加が9月の利上げを正当化

2015年8月14日 07:11


*07:13JST NYの視点:米国小売や企業在庫の増加が9月の利上げを正当化

米国の商務省が発表した7月の小売売上高は0.6%増と市場予想に一致した。過去7か月間で、6か月分が予想を下振れる結果が続いていたため、安心感につながった。前年比では引き続き景気後退を示唆する低水準だが、市場で注目される前月比の結果は連邦公開市場委員会(FOMC)による9月の利上げを正当化する内容となった。

国内総生産(GDP)の算出に用いられるコントロールグループ(食品、自動車、建材、ガソリンを除いた調整済み小売売上高)は前月比0.3%増と予想を下振れたが、6月分が0.1%減から0.2%増へプラスに上方修正されたことと相殺される。フランスのBNP銀行のエコノミストは米4-6月期のGDP見通しを3.4%増へ従来の3.0%増から引き上げ。米小売や在庫の改善を理由に挙げた。米商務省が発表した4-6月期GDPの速報値は2.3%増だが、改定値、確定値で上方修正される見込み。

ただ、7-9月期のGDPには不安が残る。米商務省が発表した6月企業在庫は前月比0.8%増と、予想外に5月の0.3%増から伸びが拡大、13年1月以来で最大の伸びを記録。4-6月期のGDPを押し上げる。しかし、売り上げは0.2%増と、マイナスとなった2月以来で最低の伸びに留まった。売上在庫比率は1.37と、金融危機以降で最高となり、リセッション時の水準となっている。米商務省のGDP算出モデルに近いと言われるアトランタ連銀のモデルによると、7-9月GDPの見通しは従来の1.0%増から0.7%増へ引き下げられた。《NO》

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