岡山大、汚染水から放射性ストロンチウムを除去する新技術を開発

2015年8月14日 22:28

 岡山大学の小野俊朗教授、花房直志准教授らの研究グループは、骨と同一成分のヒドロキシアパタイト(HAP)を用いて、汚染水から効果的に放射性ストロンチウムを吸着・除去する新規技術を開発した。

 福島第一原発事故により、環境中に放射性セシウムや放射性ストロンチウムが大量に放出された。放射性セシウムはガンマ線放出核種であり、測定や解析が容易であることから、汚染状況や除染の評価が広く行われてきたが、放射性ストロンチウムはベータ線核種であり、測定評価のためには複雑な分離、分析過程が必要となるため、環境中に放出された放射性ストロンチウムに関する除染法を含む調査、研究開発は進んでいない。

 今回の研究では、HAPを吸着剤とした汚染水からの放射性ストロンチウムの除去法を開発した。また、HAPによる放射性ストロンチウムの吸着は、汚染水(天然水)中に多量に存在する、ストロンチウムと同じ化学的性質のカルシウムやマグネシウムは妨害しないことを明らかにした。

 さらに、HAPカラムに吸着された放射性ストロンチウムは溶離液で溶離が可能であり、HAPカラムは再利用することができることから、放射性ストロンチウムをHAPに安全に固定化して安定的に保管廃棄する技術を確立した。

 研究グループは、今回の研究成果によって、実用的な規模での汚染水中の放射性ストロンチウムの吸着・除去が可能になるほか、除染後の土壌や植物体、焼却炉の飛灰などからの抽出液にも適用できるとしている。

 なお、この内容は、「Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry」に掲載された。論文タイトルは、「Adsorption and removal of strontium in aqueous solution by synthetic hydroxyapatite」。

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