NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの可能性を探る

2015年8月6日 07:15


*07:15JST NYの視点:米7月雇用統計で9月の利上げの可能性を探る

米国経済や雇用の改善が進んでいる。特に労働市場は連邦公開市場委員会(FOMC)の目標である完全雇用に一段と近づいたとの見方から、一部FOMCメンバーは9月のFOMCで9年ぶりの利上げを開始する可能性を示唆している。しかし、あくまでも利上げのタイミングは経済指標次第ということが基本であるようだ。

7月と8月の雇用統計の結果は、9月の利上げの可能性を探る上で重要な判断材料となる。7月、8月において、FOMCが雇用の正常化と見る20万人超の雇用が確認された場合、利上げ観測を受けたドル買いに一段と拍車がかかることになる。米FOMCの利上げの条件は、1)インフレが2%の目標水準に達する自信が強まること、2)更なる雇用市場の回復だ。

9月の利上げ観測が強まっている中、米国労働省が発表する雇用統計と最も相関関係が強い先行指標として注目される民間部門の雇用者数を示すADP雇用統計で、7月分の増加数は予想外に20万人を割り込み4月来の低い伸びに留まった。ドル高や世界経済の停滞が響き、製造業の雇用の伸びも鈍い。米供給管理協会(ISM)が発表した7月ISM製造業景況指数の雇用は52.7と、6月55.5から低下。

一方、ISMサービス業景況指数の雇用は59.6と6月の52.7から6.9ポイント上昇、上昇幅は過去最大を記録した。米国経済は3分の2を消費が占めるため、同指数も先行指標の中では注目度が高い。指標は依然として強弱がまだら。利上げのタイミングにも不透明性が残る。利上げのタイミングをめぐる思惑で、ドルも上下に振れる可能性が強い。


■7月雇用統計の先行指標

・ADP雇用統計
前月比+18.5万人(予想:+21.5万人、6月:+22.9万人←+23.7万人)

・ISM製造業景況指数
雇用:52.7(6月55.5)

・ISM非製造業景況指数
雇用:59.6(6月52.7)

・NY連銀製造業景況指数
雇用(現状):3.19(6月8.65)
週平均就業時間:4.26(6月3.85)
6か月予想
雇用:9.57 (6月13.46)
週平均就業時間:-3.19(6月0)

・フィラデルフィア連銀製造業景況指数
雇用(現状):-0.4(6月3.8)
週平均就業時間:4.0(6月4.7)
6か月先
雇用:22.2(6月22.3)
週平均就業時間:12.7(6月26.1)

・リッチモンド連銀製造業景況指数
雇用(現状):1(6月6)
週平均就業時間:1(6月4)
賃金::14(6月16)
6か月先
雇用:22(6月17)
週平均就業時間:3(6月12)
賃金:29(6月31)

・消費者信頼感指数
雇用(現状)

 十分:20.7(6月21.3)

 不十分:52.6(6月52.6)

 困難:26.7(6月26.1)
雇用(6か月先予想)

 増加:13.1(6月17.1)

 減少:20.0(6月15.2)

 不変:66.9(6月67.7)

・失業保険申請件数

  失業保険申請件数 前週比 4週平均 継続受給者数
07/25, 2015 267,000 +12,000 274,750 n/a
07/18, 2015 255,000 -26,000 278,500 2,262,000
07/11, 2015 281,000 -15,000 282,500 2,216,000
07/04, 2015 296,000 +14,000 279,250 2,216,000
06/27, 2015 282,000 +11,000 275,000 2,327,000
06/20, 2015 271,000  +3,000 273,750 2,265,000

■市場予想
失業率:5.3%(6月:5.3%)
非農業部門雇用者数:前月比+22.5万人(5月+22.3万人)
民間部門雇用者数:前月比+21.2万人(5月+22.3万人)《NO》

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