大阪市大、魚類も論理的思考能力を持つことを明らかに
2015年8月6日 19:31
大阪市立大学の幸田正典教授らの研究グループは、魚類の一種が、「A>BかつB>CであればA>Cである」という論理的な思考ができることを明らかにした。
哺乳類、特に霊長類においては、「A>BかつB>C であればA>Cである」という論理的思考能力を持つことが知られているが、魚類の研究例はこれまでなかった。
今回の研究では、カワスズメ科の一種である「ジュリドクロミス」を用いた実験を行った。まず、同サイズの雄3個体を準備して2個体を水槽に入れて闘わせ、勝った個体をB、負けた個体をCとする。次にAとBが闘っているところを、水槽越しにCに見せたところ、Aが勝った。つまり、A>Bという場面を、Cは目撃したことになる。
CはAとは直接には闘っていないが、もしCが“自分より強いBに勝ったAは、自分より強いだろう(すなわちA>C)”と推測できるのなら、CはAに対して闘う前に劣位行動を示すと予想される。実際に別の水槽でAとCを出会わせると、12個体のCのうち11個体が、統計的に有意にかつ的確に、劣位行動を取ることが分かった。
従来の動物行動学や動物心理学では、大脳が大きく発達した哺乳類(特に霊長類)が賢くて、洞察、類推や問題解決などの「思考」が可能であるのに対し、脳の小さな爬虫類、両生類、特に魚類にはそのような思考や認識能力はないと考えられてきた。今回の研究成果は、魚類でも論理的な思考ができることを示しており、研究グループは、いずれは教科書の書き換えにつながっていく発見と考えているという。
なお、この内容は「Frontiers in Ecology and Evolution」に掲載された。論文タイトルは、「The use of multiple sources of social information in contest behaviour:testing the social cognitive abilities of a cichlid fish」。