NYの視点:FOMCは9月の利上げの軌道上、米Q2GDP見通しも引き上げ目立つ
2015年8月5日 07:19
*07:20JST NYの視点:FOMCは9月の利上げの軌道上、米Q2GDP見通しも引き上げ目立つ
米商務省が発表した6月製造業受注指数は前月比+1.8%と、予想通り3カ月ぶりのプラスに改善し3月来の高水準となった。この結果を受けて、米JPモルガン銀行のエコノミストは4-6月期国内総生産(GDP)の見通しを従来の2.7%増から3.0%増へ引きあげた。仏BNPバリバ銀行のエコノミストは、「製造業受注、在庫、建設支出の結果は4-6月期GDPの成長加速を示唆する」とし、見通しを従来の2.3%増から2.9%増へ引き上げた。
6月の製造業受注の結果を受けて、アトランタ連銀も4-6月期GDPの見通しを2.4%に引き上げた。米商務省がすでに発表済みの速報値は前期比年率で2.3%増。アトランタ連銀が見通しを算出するために使用しているモデルは、米商務省がGDPを算出するために使用しているモデルに非常に似ており、その見通しへの注目度は高い。1-3月期は0.6%増へ上方修正された。4-6月期が2.9%増、7-9月期の見通しも平均で2.9%増でこの水準での伸びが続いた場合、通年の成長はFRBの見通し1.9%増を上回る可能性が出てきた。
アトランタのロックハート連銀総裁は米ウォ—ルストリートジャーナル紙のFedウォッチャー、ヒルゼンラス氏とのインタビューで、「経済状況からすると、指標が著しく悪化しない限り9月の利上げが適切である可能性がある」と発言。さらに、利上げを開始しないことへの障壁は逆に「高い」と、FOMCは9月利上げの軌道上にあることを明らかにした。
ロックハート総裁は2015年度の連邦公開市場委員会(FOMC)投票権を有するほか、FOMCのメンバーの中でも中立派としてその見解には金融市場での注目度が高い。また、FOMCはたびたび、金融政策の決定などで市場にサプライズを与えないためにウォールストリートジャーナル紙を通して、ある程度の情報を流すことがあるため、9月利上げの真剣味が強まったと考えられる。先週末、米労働省が発表した雇用コスト指数(ECI)が1982年来で最低の伸びに留まったにもかかわらず「9月の利上げに形成は良好」と、やはり米ウォールストリートジャーナル紙とのインタビューで答えたブラード・セントルイス連銀総裁の発言に続く。イエレンFRB議長も「早めの利上げは緩やかなペースでの利上げを可能にする」と早期の利上げを支持。フィッシャー米FRB副議長も年内の利上げを示唆、9月の利上げも選択肢に含まれているとたびたび発言している。
今週末の7月雇用統計に加えて、来週発表される小売売上高で状況をさらに探っていく。ドルも利上げを織り込む買いに当面強含みに推移すると見られる。《NO》