「35才、転職限界説」は過去の産物か

2015年8月3日 16:31

 これまで、転職市場では不利になると言われていた「ミドル層(35歳以上)」の状況が変わりつつある。2015年5月度の有効求人倍率は1.19倍と、23年ぶりの高水準を記録。企業の採用意欲が高まり、年齢を問わず「即戦力」を求める企業が増えているからだ。

 人材採用支援を手がけるエン・ジャパンが今年6月、自社サイトを利用する転職コンサルタント111人を対象に実施した調査によると、7割以上の転職コンサルタントが「昨年よりもミドルの採用が増えている」と回答したという。関係者の間では、「35才転職限界説も崩壊した」と言われて久しい。

 転職コンサルタントらに、「1年前と比較をしたミドルの採用」について聞いたところ、「増えている」(74%)に対し、「減っている」は実に0%で、企業がミドル層に熱い視線を向けていることが分かる。エン・ジャパンによると、採用難が続いていることから「即戦力となる経験者を確保するため、年齢を問わずに採用対象を広げている企業が多い」という。

 35歳以上の転職パターンで多いのは、大企業から中小企業へと移るケースだ。転職コンサルタントらに、ミドル層の転職における「企業規模の変化」(上位3つ)を尋ねた結果では、「大手企業→中小企業」が74%で最多、次いで「中小企業→中小企業」が52%と、中小企業への転職がメイン。「中小企業→ベンチャー」も31%いるが、「ベンチャー→大企業」は9%と少数派だ。

 ミドル層の採用が多い職種を聞いたところ、1位は断トツで「経営・経営企画・事業企画系」(60%)。中小企業が採用意欲を高めていることから、成長段階にある企業が、経営や事業方針など「会社の舵取り」を任せたいとのニーズが高い。次に多いのが「事務・管理系」「営業・マーケティング系」で、それぞれ39%。「金融系」や「コンサルタント系」「IT技術系」などは、いずれも15%未満と少なかった。

 企業がミドルを採用する理由については、1位が「マネジメント力・組織力の強化」(32%)、2位が「既存事業のマーケットシェア・販路拡大」(20%)、3位が「既存事業の立直し・見直し」(16%)。組織力を強化し、既存事業の拡大を期待して「ミドル層」を採用する企業が増えているといえそうだ。(編集担当:北条かや)

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