優秀な人材が集まる企業の、ユニークな福利厚生とは?

2015年8月1日 22:51

 厚生労働省と文部科学省が5月に発表した調査報告によると、2015年度の新卒大学生の就職率は96.7%で前年同月比2.3ポイント上昇しており、4年連続の改善となった。今春卒業の高校生の就職率も97.5%で0.9ポイントの上昇となり、こちらも5年連続で高水準を記録している。景気の回復傾向を背景に幅広い業種で求人自体が増えており、それに伴うように大卒の就職希望率も72.7%と過去最高を記録した。

 就職の話題になると「売り手市場」「買い手市場」などの言葉が飛び交うが、いずれにしても魅力のある企業には優秀な人材が集まるようだ。では、売り手、つまり就職する側・転職する側にとって企業の魅力とは一体何だろうか。

 仕事内容や企業の規模、ネームバリュー、給料など、就職を考える際には様々な条件を検討するが、中でも最近は福利厚生を重要視する学生が増えているという。日本でも転職などに関してかなり寛容になったとはいえ、やはりまだまだ終身雇用が一般的だ。いくら給料が良くても、福利厚生が充実していないと、後々不満の種になることも多い。また、一昔前は企業の福利厚生といえば、社員が利用できる保養所や慰安旅行などくらいのものだったが、最近では企業の業種や社風などによって、バラエティに富んだユニークな施策が増えている。

 例えば、休日制度の福利厚生などでは、兵庫や尼崎などで美容室チェーンを展開している株式会社チカラコーポレーションの「失恋休暇」も面白い。この制度は、店長に口頭で失恋の報告をするだけで、1日~最長3日までの休暇を取ることが出来るというもの。ちなみに離婚した場合には、さらに一日、休暇が追加できるという。

 最近では休日の福利厚生だけでなく、普段から社員の健康管理を気遣う企業も増えている。大手SNSサイトを運営する株式会社ミクシィ<2121>では、デスクワーク主体の自社のエンジニアに50万円以上する最高級クラスのイスを支給し、働きやすく快適な環境を提供している。はてなブックマークなどで知られる株式会社はてなでは、健康増進のために自転車通勤を奨励する制度を導入しており、自転車通勤者には月2万円の手当てが支払われる上、自転車通勤中の事故に対する損害賠償保険費も会社が負担するという厚遇ぶりだ。また、モバイルサービスの企画・開発・運用を行う株式会社ゆめみでは、京都や青森の農家と契約し、産地直送の野菜を月に1回、全社員に配る「野菜現物支給制度」を導入しており、社員の家族にも好評のようだ。

 従業員への健康的な食事の提供を目的としたものでは、ローヤルゼリーやプロポリスなど、ミツバチ産品の製造販売で有名な株式会社山田養蜂場が7月16日より、本社と第一工場の従業員食堂において、話題の「タニタ食堂メニュー」の提供を開始している。

 「タニタ食堂メニュー」は、「野菜を多く使い栄養バランスに配慮しつつ、カロリーや塩分を抑えた一汁三菜の定食レシピ」としてメディアなどにも数多く取り上げられているが、意外なことに西日本の企業でこれを従業員食堂に取り入れたのは、今回の山田養蜂場が初めてとなる。また、同社の従業員食堂で提供される「タニタ食堂メニュー」には、同社が販売している、国内産の18種類の穀物を配合した「十八穀米」や同社が岡山県鏡野町のれんげ田で丹精込めて育てた「発芽れんげ米」も使われているという。これらの米を食することで、良質なビタミンやγ‐アミノ酪酸(ギャバ)など、健康に欠かせない栄養素が補えるという。食を基本としている山田養蜂場だからこそ、顧客のみならず、従業員にも食を通して健康を維持して欲しいという思いに満ち溢れた、大変素晴らしい食のコラボレーションだ。

 様々な福利厚生の制度をみると、ユニークさの中にも、その企業が従業員のことをどれだけ真剣に考えているのかが見えてくる。ただ給料と休暇を与えておけばいいだろうという考え方では、こういった福利厚生は行われないだろう。実際、ユニークで社員に好評な福利厚生を行っている企業は、軒並み元気だ。就職を考える時だけでなく、投資や取引を行う際にも、企業の福利厚生は参考になるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)

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