15年の学童サービス市場は3030億円 共働き世帯の増加やライフスタイルの変化で市場拡大

2015年7月30日 16:23

 矢野経済研究所では、4月~6月にかけて国内の学童保育市場の調査を実施した。調査対象は学童保育サービス市場に参入している企業および関連団体など。調査方法は、同社専門研究員による直接面談、電話・e-mail・FAX・郵送によるヒアリング、ならびに文献調査を併用した。

 それによると、2014年度の学童保育市場規模は前年度比6.3%増の2,862 億円(事業者売上高ベース)であった。待機児童解消に向けた民間事業者による受け皿づくりが加速しており、市場は順調に拡大しているという。

 共働き世帯の増加に合わせて学童保育サービスを利用する子供数が増加、加えて、民間事業者が運営主体となる民立民営型施設の増加による提供サービスの付加価値化(長時間の預かりサービスや学習支援サービスなど)が進展しており、従来からの利用者である共働き世帯だけにとどまらず、「放課後の時間を有意義に過ごす」ことを目的に、専業主婦世帯にもサービス需要が拡がりをみせているとしている。

 学童保育サービスは、国の予算措置が曖昧でなおかつ補助金も少ないことから、施設の新規設置に慎重な地方自治体は多い。そのため、施設数が需要に追いつかない状況が未だに続いているが、民間事業者が施設運営に乗り出す動きも活発化しており、特に公立民営型や民立民営型の施設数が増加しているという。

 こうした動きに合わせて、学童保育サービス需要は今後も高水準で推移し、2015年度の学童保育市場規模は前年度比 5.9%増の3,030億円(事業者売上高ベース)と予測している。

 また、去る4月に多様化する利用者ニーズを踏まえ、さまざまな保育サービスへの支援・確保による待機児童解消を目指し、子ども・子育て関連 3 法に基づく「子ども・子育て支援新制度」がスタートした。そのうち、学童保育サービスに関しては、“待機児童 30 万人分の受け皿づくり”を目標とした施設の拡充(量的拡充)と、指導員の確保や待遇改善、利用者の意向を反映したサービス拡充(質の改善)の両面から支援していく内容となっている。

 さらに、ここ数年、民立民営型の学童保育サービスを提供する民間事業者数が急激に増加しており、保育所を運営する民間事業者に加えて、電鉄系や教育(通信教育・教材サービス)系、学習塾系、子ども用品メーカー系、人材派遣系、スポーツクラブ系、流通・小売業系と、多種多様な業種の民間事業者に広がりを見せている。

 民立民営型の学童保育サービスは、地方自治体が設置主体である公立公営型あるいは公立民営型の学童保育サービスと比べて、利用者ニーズに細かくマッチしたサービスを提供しているのが特徴である。特に、さまざまな事業をバックボーンに持つ民間事業者の参入により、学童保育の主要機能である預かりサービスだけではなく、学習支援、各種習い事、閉所時間の延長とそれに伴う食事への対応など、幅広いサービスが提供されるようになっているとしている。

 このような背景には、共働き世帯の増加やライフスタイルの変化により、学童保育サービスに求める利用者側のニーズが多様化していることがあるという。また、近年は、付加価値サービスを持つ民間事業者が施設運営に乗り出す動きに加えて、サービス・ノウハウを既存の学童保育サービス事業者へOEM供給する事例や、サービスの相乗効果を目的に民間事業者間でサービスリソースを相互利用する動きも出てきているとしている。(編集担当:慶尾六郎)

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