新国立競技場とギリシャ問題の規模

2015年7月27日 08:00


*08:00JST 新国立競技場とギリシャ問題の規模
東京五輪のメイン競技場となる新国立競技場の計画が白紙撤回されゼロベースで見直すことが決定した。建設費が約2500億円にまで膨らんだのが要因だ。
 これによく似た金額を最近2つ見かけた。ひとつはギリシャの6月末の国際通貨基金(IMF)への返済金額約2000億円、もうひとつは東芝の2000億円規模(実際は1500億円)の不適切会計だ。
 ギリシャの6月末のIMFへの債務不履行(デフォルト)問題は、あれほど世界を揺るがせるような問題として報道されたが、金額としては東京五輪のメイン競技場や一私企業の利益の水増しレベルの金額でしかなかったのは不思議な感じがする。全体の債務の規模はもう少し大きいが、ひとつの国が支払えるか支払えないかという金額にしては小さい。
 比較してみると、ギリシャという国の経済規模の小ささが分かるとともに、当初の新国立競技場のバカバカしい巨額さが分かる。
 他国の競技場の例と比較してみると、中国の「鳥の巣」と呼ばれた北京五輪の壮大なメイン競技場でも約600億円、また過去5回行われた五輪のメイン競技場の全ての建設費を合計した金額と新国立競技場の建設費がほぼ同じとのことである。
 東京五輪用の施設は新国立競技場以外についても建設費が予定よりも高騰している。ボートコースなどは当初69億円の計画が1038億円(さらに見直され491億円)に膨らみ、数倍~十数倍になっているものが散見される。
 ギリシャ五輪で作られた競技場の多くは廃墟のようになっている。東京五輪の施設はギリシャの教訓に学んで、適切な建設費とその後の運用をよく考えて計画を策定してもらいたいものだ。もちろん国家財政全体についてもギリシャの轍を踏まないように・・・《YU》

関連記事

最新記事