第9回キッズデザイン賞発表! 「アプリ」から「ひろば」まで、多彩な受賞作
2015年7月26日 08:39
毎年恒例となった「キッズデザイン賞」(主催:キッズデザイン協議会 後援:経済産業省、消費者庁)の2015年度の受賞作が7月3日に発表された。第9回となる今年は470件を超える過去最高の応募数を記録し、その中から308点の受賞作品が選出された。今年はとくに建築・空間とコミュニケーション分野の応募数の増加が目立った。東京都が、子どもの安全安心に貢献するものづくりを推進するために「子ども視点の安全安心デザイン子ども部門・一般部門」に応募する都内中小企業の審査料全額補助をはじめたことも、参加企業の増加に一役買ったようだ。また、今年は「男女共同参画担当大臣賞」も新設されるなど話題も多く、内容も益々充実してきた。
同賞は、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」、「子どもたちを産み育てやすいデザイン」というキッズデザインの理念を実現し、普及するための顕彰制度だ。受賞作品には「キッズデザインマーク」の使用が認められる。また、大人向けのものであっても、子どもに対する配慮がなされているものであれば審査の対象となる。
今回も、例年に違わず、様々な分野・業種・業態の企業や団体が応募しており、受賞作品のラインナップを眺めているだけでも、夢が広がるものばかりだ。
例えば、ドコモ・ヘルスケア株式会社が「子どもの産み育て支援デザイン 個人・家庭部門」を受賞したスマートフォン向け育児記録アプリ「育ログ WM(R)」は10万ダウンロード突破のママ向け人気アプリだ。毎日の育児記録をシールで簡単に入力・管理できるだけでなく、さらにその記録をグラフ化することもできる。毎日の授乳量や赤ちゃんの成長曲線なども一目で確認できるのでママたちに好評のようだ。さらに病気の際には体温の変化や嘔吐など、症状の経過が自動的にまとめられるので診察時に医師に伝えるのにも役立つ。しかも、これだけの多機能にもかかわらず、利用料無料というのだから驚きだ。
面白いところでは、全国でも他に類のない、幼児施設に特化した建築設計事務所・株式会社日比野設計+幼児の城は、沖縄県初の新築型幼保連携型認定こども園「認定こども園 はなぞのこどもえん」、雨が降ると園舎の中に水溜りが出来、雨が上がると子どもたちが水溜りで遊べるというコンセプトがうけ、世界35か国以上のメディアに取り上げられた熊本県の「認定こども園 第一幼稚園」など、なんと9件のプロジェクトで受賞を遂げている。
また、パナホーム<1924>も、近年、何かと話題にあがる空気中の微粒子PM2.5の中でも、より身体に悪影響を及ぼすといわれているPM0.5にも対応し、0.3μm(マイクロメートル)までの微小粒子を99.97%除去する「HEPAフィルター」を工業化住宅業界で初めて標準搭載した「エコナビ搭載換気システム HEPA+(プラス)」と、同社本社にあるビオトープ「つながりのひろば」とショウルーム「住まいとくらしの情報館・千里」における総合体験学習の2作品でダブル受賞を果たしている。
少子高齢化の時代、子どもに対する配慮がなされた良質な商品や施設、プログラム、調査研究活動などは日々重要性を増している。今の子どもたちの暮らしを豊かにすることはもちろん、将来の子どもたち、ひいては子育てしやすい社会を築くことは少子化対策にもつながる。受賞作の中から「内閣総理大臣賞」はじめ、優秀作品が8月3日(月)に発表されるが、たとえ選に洩れたとしても、どの作品も優劣のつけがたい日本の財産であることは間違いないだろう。(編集担当:藤原伊織)