京大、日立らがヒトiPS細胞を用いたパーキンソン病の再生医療実用化へ
2015年7月26日 08:41
いよいよヒトiPS細胞による再生医療事業がまた一つ本格化する。今回はパーキンソン病への適用が開始される。大日本住友製薬<4506>、国立大学法人京都大学iPS細胞研究所、日立製作所<6501>の3者は、経済産業省および国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の2015年度「再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療等の産業化に向けた評価手法等の開発)」に係る委託先として採択された課題の共同研究に着手すると発表した。
これまで、京都大学と大日本住友製薬は、ヒトiPS細胞を用いたパーキンソン病治療法の実用化に向けた共同研究に取り組んできた。また、日立製作所では、細胞自動培養技術の開発を進めてきた。今回採択された研究内容は、ヒトiPS細胞を用いたパーキンソン病に対する再生医療の実用化に向け、ドパミン神経前駆細胞の生産方法の確立等に関する基盤技術および評価手法を開発すること。研究の成果を用いて、高い安全性と一定の品質を確保した細胞を効率的に大量生産し、安定供給するための生産方法等を確立することを目指す。
主な事業内容および分担は、大日本住友製薬は、目的の細胞だけを分取する技術である抗体を用いた細胞セルソーティングプロセスの評価手法の開発、を担当する。大日本住友と京都大学は、中間体および最終製品等の細胞凍結保存の評価手法の開発、を担当。日立製作所と大日本住友製薬は細胞自動培養装置の導入に伴う加工プロセス改良時の妥当性評価する。そして、京都大学は非臨床試験での細胞の有効性と安全性についての予備検討ならびに理論構築、を担当する。
大日本住友製薬は、アンメット・メディカル・ニーズの高い精神神経領域およびがん領域を重点領域に、革新的な医薬品の創製を目指している。さらに、iPS細胞などの最先端サイエンスを創薬に応用するとともに、再生医療や細胞医薬の取り組みを強化し、難治性疾患の治療薬の開発も推進している。なお、ドパミン神経前駆細胞の製造工程の一部において、エーザイ<4523>が保有する抗体技術を活用している。(編集担当:慶尾六郎)