冥王星の衛星「ニクス」と「ヒドラ」の新しい画像が公開=探査機「ニュー・ホライズンズ」が撮影

2015年7月25日 16:31

 米航空宇宙局(NASA)は7月21日、探査機「ニュー・ホライズンズ」が撮影が冥王星系をフライバイした際に撮影した、冥王星の衛星「ニクス」と「ヒドラ」の新しい画像を公開した(写真左がニクス、右がヒドラ)。

 この写真は7月14日に撮影され、7月18日に地球に届いたもの。これまで公開されていたニクス、ヒドラの画像は、解像度が荒い、ドット絵のようなものであったが、今回初めて、その姿かたちがわかるほどの画像が公開された。

 ニクス(写真左)は約16万5000km離れたところから撮影されたもので、ジェリービーンズ形の姿がくっくりと写っている。この写真の解像度は3kmほどで、また写真から、ニクスの寸法は42km x 36kmほどだと見積もられている。なお、元の写真は白黒で、そこに「Ralph」という観測機器で得られた色情報を付け足して、カラー画像に加工されている。

 ヒドラ(写真右)は約23万1000km離れたところから撮影されたもので、解像度は1.2kmほどだという。この写真から、長さは55kmほどだと見積もられているという。

 両者は、ほぼ同じサイズということ以外は、多くの違いが見られる。たとえばニクスには赤みがかった領域が見られる。解像度が低いため、はっきりとしたことは不明なものの、科学者らによれば、この部分はクレーターであると推測されているという。なお、ニュー・ホライズンズはまだ多くのデータを溜め込んでおり、現在順次、送信されている段階にある。したがって、この赤い領域の正体も、今後追加のデータによって明らかになるかもしれないと科学者らは期待を寄せる。

 ミッションに参加している科学者の一人、Carly Howettさんは「この観測結果は興味をそそられます。さらなるデータをダウンロードするのが待ちきれません」と語る。

 一方のヒドラの画像では、少なくとも2つの大きなクレーターがあるのが見える。一つは右下の黒く影になっている部分で、もう一つは上部にある、他の地域より一段暗くなっている部分だ。後者は、表面の地質が異なるため暗く見えるのではと推測されている。

 ニクスとヒドラは、2005年5月に宇宙望遠鏡「ハッブル」によって発見された。ニクスもヒドラも非常に小さい星であるため、ニュー・ホライズンズが接近して観測するまで、その正確な姿かたちは明らかになっていなかった。

 なお、冥王星にはカロン、ニクス、ヒドラの他に、2011年に発見された「ケルベロス」と、2013年発見の「ステュクス」という衛星もあるが、この2つの衛星の画像については、今年10月中旬以降に送られてくる予定だという。

写真=NASA。

■New Horizons Captures Two of Pluto's Smaller Moons | NASA
http://www.nasa.gov/image-feature/new-horizons-captures-two-of-plutos-smaller-moons

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