三菱東京UFJ、ドバイでイスラム金融サービス提供へ
2015年7月23日 08:06
三菱東京UFJ銀行は7月8日、アラブ首長国連邦のドバイで、外国銀行によるイスラム金融兼業認可を取得した。これにより、同行はドバイで従来の金融サービスに加え、イスラム金融サービスを提供することができるようになる。
イスラム金融は、利子の禁止や豚肉・酒類などへの出融資禁止といったイスラムの教えに則った金融取引。近代的な金融システムに批判的なイスラム教徒を抱える国を中心に、急拡大している。さらに、世界の金融センターもイスラム金融に注目しており、英国、香港、ルクセンブルクなどがイスラム債を発行しており、イスラム金融市場は2014年に2.1兆ドル(約250兆円)に達している。
こうした中で、三菱東京UFJ銀行は、08年の銀行法施行規則改正による銀行子会社でのイスラム金融業務取り扱い解禁に伴い、イスラム金融のノウハウを蓄積してきた。まず06年からイスラム金融や投資銀行業務でマレーシア金融大手グループCIMBと提携した。08年末に同国にイスラム金融専門部署を設立し、投資銀行業務などを展開してきた。13年末には、インドネシアでイスラム金融による融資案件に参画している。同国でイスラム金融を実施するのは邦銀で初めて。さらに同行は、昨年9月にマレーシアでイスラム債を発行している。
これより先、同行は07年にドバイ出張所(現ドバイ支店)を開業し、中東地域を中心とする顧客に対して貸出やプロジェクトファイナンスなどを提供してきた。ドバイでのイスラム金融サービス開始を契機に、同行は今後、ドバイ支店を欧州・中東・アフリカ地域における同行イスラム金融のハブ拠点として位置づけて、同地域でのイスラム金融ニーズに対応していくと見られる。
三菱東京UFJに対抗すべく、三井住友銀行も近年海外でイスラム金融業務を強化している。今後、東南アジアだけでなく中東においても、イスラム金融分野での邦銀間の競争が激しくなるかもしれない。(編集担当:久保田雄城)