ブラザーの頭部装着型モニターが医療現場で正確な施術を支援する
2015年7月19日 20:35
日本病院会・日本経営協会主催による「国際モダンホスピタルショウ2015」が15日、東京ビッグサイトで開幕した。このイベントには、世界で最新の医療・介護機器や情報システムなどが勢ぞろいした。
今開催で42回目を迎えた今回のテーマは「健康・医療・福祉の新時代へ~連携と地域包括ケアの充実を目指して」で、国内外から356社が出展。17日までの3日間で、医療・介護従事者や自治体関係者ら約8万人の来場を見込んだイベントだ。初日の入場者は2万8679名だった。昨年までに比べて、NTTやTOSHIBAなどの大手が地域の包括的な医療連携システム構築による連携ケアシステムの提案が多く展示されていたのが、本年の特徴と言えそうだ。
展示は、医療情報システム、医療機器・環境設備、看護・介護・リハビリ、施設運営サポート・サービス、健診・ヘルスケアの5つのエリアで構成され、企業などがそれぞれのブースを設けた。
なかで情報通信機器や高精度プリンターなどを製造・販売するブラザーは、医療機器の画像を片目で確認しながら治療ができる、ヘッドマウント型の小型ディスプレー「AIR Scouter(エアスカウター/WD-250A)」を展示した。
これは、2012年6月に発売した業務用「AIR Scouter」のモデルチェンジ版。従来からの変更として、1280×720ドットの液晶パネルを採用(旧型はは800×600ドット)。加えて、明るくシャープな720p映像の表示が可能だ。また、装着者や用途などに合わせて、映像の奥行きを0.3mから5mまで変えられる焦点距離調整機能も搭載。装着していない目で見ている対象物と、映像の距離を同程度まで近づけることにより、目の疲れを抑えられるという。
AIR Scouterは、光源からの映像を前面のミラー部に投写し、目の前にカラー映像が浮かんで見えるヘッドマウントディスプレー。ディスプレー部とケーブル接続されたコントローラ部で構成する。教育やトレーニング、医療機器のサブモニターなどでの使用を想定している。
装着方法は、従来のメガネ型からヘッドセット型に変更し、自然な装着感を実現した。そのため、新型ではメガネをかけたまま装着することも可能となった。フレキシブルなアームを採用し、作業姿勢に合わせて最適なポジションにディスプレーを固定できる。
人工透析を行なっている現場などでは、血管が見つかりにくい患者に対し、エコーの映像を確認しながら針を刺すことがある。そのため、施術者はエコー画像のモニターと患者の腕を振り返りながら確認することも多かった。が、このヘッドマウントディスプレーを使うことで、頭を動かさずに処置できる。ブラザーよれば、「モニターを確認するために頭を動かすと、どうしても体もブレる。このWD-250Aを使えば、そのような心配も軽減できる」という。
ブラザーでは、この業務用ヘッドマウントディスプレー「AiR Scouter」2機種を7月下旬から発売する予定だ。業務モデル「WD-200A」と医療モデル「WD-250A」を用意し、価格はオープンプライスで、業務モデルの想定価格は25万円程度で、7月下旬発売。医療モデルはOEMパートナーへの販売となり、発売時期は10月下旬ごろになる予定だ。(編集担当:吉田恒)