探査機「ニュー・ホライズンズ」、冥王星に最接近 観測の成否は15日朝に判明

2015年7月15日 10:08

 米航空宇宙局(NASA)の冥王星探査機「ニュー・ホライズンズ」が、日本時間7月14日の夜、冥王星系を通過し、冥王星とその周囲を回る月に最接近した。最接近前後は地球との通信を絶っていたため、最接近時に観測が成功し、なおかつ問題などが発生せずに無事な状態かどうかが判明するのは、探査機との通信が再開される日本時間15日の朝となる。

 ニュー・ホライズンズは米東部夏時間2015年7月14日7時49分ごろ(日本時間2015年7月14日20時49分ごろ)、冥王星の上空約1万2500kmを、秒速約14kmの速度で通過。またその直後には冥王星の衛星「カロン」から2万9000kmのところを、同じく秒速約14kmで通過した。

 この最接近前後、探査機はセンサーなどを冥王星やカロンなどに向けて観測に専念する必要があったため、地球との通信は行われていない。最接近時の行動はあらかじめ探査機に送られていたプログラムにしたがって行われた。

 すべて順調に進んでいれば、探査機はやはりプログラムにしたがって、米東部夏時間7月14日16時27分(日本時間7月15日5時27分)に最接近後初めてとなる信号を地球に向けて発信する。これは「Phone Home(家への電話)」と呼ばれている。

 現在ニュー・ホライズンズと地球との距離は約48億km離れており、電波が飛ぶ秒速30万kmという速度をもってしても、約4時間半ほどもかかるため、信号が届くのは日本時間7月15日10時前後となる。探査機が無事に最接近を果たしたことが確認できれば、その後データのダウンロードが始まることとなっている。データ量が多いことや通信速度があまり出せないこともあり、すべてのデータをダウンロードするには数か月がかかるという。

写真=NASA。

■NASA's Three-Billion-Mile Journey to Pluto Reaches Historic Encounter | NASA
https://www.nasa.gov/press-release/nasas-three-billion-mile-journey-to-pluto-reaches-historic-encounter

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