トヨタ製最小ミニバン、シエンタが12年ぶりにモデルチェンジ。ハイブリッド車が加わる
2015年7月12日 16:48
2003年にデビューして12年あまり販売されたトヨタの最小ミニバン、シエンタがフルモデルチェンジした。5ナンバー枠に収まるコンパクトなボディ、街中での取り回し性の良さを持ちながら、電動スライドリアドアや3列シートの採用などで7名乗車仕様とし、小さな子供を抱える世代に支持されたモデルだ。
12年という時を経て登場した新型は、コンセプトそのものに変化はないが、先代のどことなく可愛らしい雰囲気と訣別したアグレッシブなデザインとなった。新型は新たに低床フロアの採用で室内空間は拡大。トヨタのお家芸であるハイブリッド車(HV)がラインアップされたこともニュースである。
エクステリアデザインのコンセプトは「Urban Trekking Shoes」。ヘッドライトからバンパーへと伸びるフロントガーニッシュは「FLEX TONE(フレックストーン)」と名付けられた“差し色”が入るモデルを用意、まさにトレッキングシューズなイメージしたデザインとした。全体的に「アクア」や「ヴィッツ」と共通した雰囲気に仕上げたが、よりアグレッシブな力感を感じさせる表情を持つ。
ボディのディメンションは全長×全幅×全高4235×1695×1675(1695/4WD)mm。全長が先代比115mmプラス、ホイールベースも50mm拡大し2750mmとなった。しかしながら、最小回転半径は先代と同じ5.2mを維持し、美点だった取り回し性の良さを受け継いだ。一方、室内全長は20mm、室内幅は40mm拡大し、コンパクトなボディから想像できないほどの広々とした空間となった。
パワートレーンは2種。ガソリンエンジンとハイブリッドである。ガソリンエンジンは駆動方式によって2タイプとなる。FFモデルには1.5リッター直列4気筒の「2NR-FKE」ユニットを積み、4WDモデルには同じ1.5リッター直列4気筒ながら「1NZ-FE」ユニットを搭載する。
前者は3月にマイナーチェンジしたカローラに搭載した高効率ユニットで、高圧縮比&アトキンソンサイクル化および電動モーターによる可変バルブタイミング制御システム「VVT-iE」などを採用した新エンジン。最高出力109ps(80kW)/6000rpm、最大トルク13.9kg.m(136Nm)/4400rpmのアウトプットを持つ。トランスミッションはCVTで、アイドリングストップなどを組み合わせ、JC08モード燃費20.6km/リッターの省燃費を実現した。
後者はヴィッツなどに搭載されているベーシックなユニット。スペックは最高出力103Pps(76kW)/6000rpm、最大トルク13.5kg.m(132Nm)/4400rpm。JC08モード燃費は15.4km/リッターだ。トランスミッションは駆動方式に関わらずCVTとなる。
ハイブリッドシステムはアクアと同一。1.5リッター直列4気筒ガソリンエンジン「1NZ-FXE」に、モーターを組み合わせた「リダクション機構付 THS II」を採用する。エンジンが最高出力74Pps(54kW)/4800rpm、最大トルク11.3kg.m(111Nm)/3600-4400rpm。モーターは「1LM型」のアクアに対して「2LM型」に換装されているが最高出力は61ps(45kW)、最大トルクは17.2kg.m(169Nm)とスペックに違いはない。システム合計出力は100ps(73kW)となる。バッテリーも6.5Ahの容量を持つニッケル水素タイプで変わらないが、フロントシート下に収納するために30mm薄く、ややワイド化されている。JC08モード燃費は3列ミニバントップの27.2km/リッターを達成した。
新型には先進安全装備をセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を搭載。レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせた「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ」。約15km/h~140km/hで走行中に衝突が予測される場合には警報を発し、約30km/h~80km/hでは最大限の制動力を発揮するようブレーキをアシスト、ブレーキ動作がなかった場合には約10km/h~80km/hの領域で自動ブレーキを作動させる。そのほかレーン逸脱を警報する「レーンデパーチャーアラート」、ヘッドライトのハイ&ロービームを自動的に切り替える「オートマチックハイビーム」を装備。また、運転支援機能として「先行車発進告知機能」も搭載した。(編集担当:吉田恒)