金井宇宙飛行士、第20回NASA極限環境ミッション運用(NEEMO)訓練に参加へ

2015年7月9日 18:40

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は7月8日、金井宣茂(かない・のりしげ)宇宙飛行士を、海底にある施設で国際宇宙ステーション(ISS)の長期滞在に必要な能力を訓練する、「NASA極限環境ミッション運用(NEEMO)訓練」に参加させると発表した。

 実施期間は7月20日から8月2日の14日間で、米フロリダ州のタバナー沖にある、フロリダ国際大学の海底実験室「アクエリアス」で行われる。

 訓練には金井飛行士のほか、欧州宇宙機関(ESA)のルカ・パルミターノ宇宙飛行士と、米航空宇宙局(NASA)のセレナ・アノン宇宙飛行士も参加する。このうちパルミターノ飛行士が、指揮官となるコマンダーを務める。なお、参加するのは宇宙飛行士(アストロノート)だが、この訓練に限っては「アクアノート」(Aquanaut)と呼ばれる。

 NEEMO(「ニーモ」と発音する)訓練は、海底に設置されている研究室において、宇宙でのミッションに類似した状況を作り出し、宇宙飛行士がISSの長期滞在に必要な能力を向上させることを目的としている。

 今回のミッションでは、ISSや将来の有人探査に向けた技術の検証・評価が行われる。船外活動では、サンプルを採取するツールの作業性や、小惑星・火星などの異なる地表・重力レベルでの作業手法を検証し、またウェアラブル端末に作業手順を表示してクルーが実際に作業を行えるかどうかを検証したり、通信の遅れを模擬したりするという。

 NEEMO訓練は2001年から実施されており、今回で20回目となる。第10回(2006年)には若田飛行士がコマンダーとして参加、また第13回(2007年)には古川飛行士、第15回(2011年)には大西飛行士、第16回(2012年)には油井飛行士も参加している。また2013年にアクエリアスで実施された、NEEMOとは別の「SEATEST」と呼ばれる訓練には、野口飛行士が参加している。

 金井宇宙飛行士は1976年生まれで、海上自衛隊を経て、2009年に宇宙飛行士候補生としてJAXAに入社した。その後、ISSに搭乗できる宇宙飛行士としての資格を得るために訓練を重ね、2011年7月に油井飛行士、大西飛行士らと共に正式に宇宙飛行士として認定され、その後も実際に宇宙へ行く日に向けて、日本や米国、ロシアなどで訓練を続けている。

写真=NASA。

■NEEMO20:JAXAの宇宙飛行士 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA
http://iss.jaxa.jp/astro/kanai/neemo20/

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