中国に3つの“拳銃密造拠点”、青海・貴州・広西の貧困エリア
2015年7月6日 08:58
*09:00JST 中国に3つの“拳銃密造拠点”、青海・貴州・広西の貧困エリア
河北省滄州市で今年6月、立て続けて2件の発砲事件が起きた。9日未明、55歳の男が猟銃を持ち隣家に侵入。駆け付けた警察官と銃撃戦となり、住民と警察幹部ら5人が死亡、5人が負傷した。そのわずか11日後の20日午後、市内の住宅地で覆面姿の4人組の男が2人に発砲し、うち1人が死亡、1人が負傷。22日に容疑者が逮捕され、犯行に使ったとみられる拳銃なども押収された。観察者網などが伝えた。
中国で銃の製造、所持、使用、販売などは厳しく規制されている。にもかかわらず、短い間に同じ都市で2件の発砲事件が発生したことが、世間に衝撃を走らせた。容疑者らの拳銃入手ルートは今のところ不明。ただ、公安関係者によると、中国に実は3つの“拳銃密造拠点”が存在するという。◆青海省・化隆回族自治県、◆貴州省・松桃ミャオ族自県、◆広西チワン族自治区・合浦県——。いずれも中国でもっとも貧しい地域だ。
1990年代から、銃取引の闇市場で“化隆製”が「高品質の密造拳銃」の代名詞になったという。20世紀初頭、「青海王」と呼ばれる回族軍閥、馬歩芳氏が支配した地域で普及した。拳銃の製造技術は、馬氏が率いる軍隊から受け継がれたとも言われている。90年代に入り、機械工場などの国有企業が相次いで倒産・閉鎖。リストラを余儀なくされた元従業員らは、工場に残された設備や廃材などを流用し、拳銃密造に手を染めるようになったという。やがては部品仕入れや、密売の闇ルートができ、拳銃密造の一大拠点が形成された。
青海省の化隆に比べ、貴州省の松桃と広西チワン族自治区の合浦は拳銃密造の“後発組”だ。化隆と同じく、少数民族が生活する貧困エリア。また、化隆と同様に、拳銃密造は、住民らが貧困から脱出する唯一の手段として、横行するようになった。拳銃のほか、さらに殺傷力の大きい散弾銃や大砲も松桃、合浦で密造されている。
ただ、拳銃密造で巨大な富を手に入れたのは、貧しい少数民族の住民たちではない。公安関係者によれば、化隆で密造された拳銃は、1丁あたり300~500人民元(約5900~9900円)で闇市場の密売人が買い取る。一方、末端市場では、1丁あたり数千人民元から数万人民元で売られているという。
【亜州IR】《ZN》