香港初の高速鉄道で予算増大、開通時期は18年に繰り下げ
2015年7月2日 09:37
*09:39JST 香港初の高速鉄道で予算増大、開通時期は18年に繰り下げ
広州-深セン-香港間を結ぶ高速鉄道「広深港高速鉄路」について、香港区間の開通が再び先送りされることが分かった。最新の評価報告に基づき、建設を請け負う香港鉄路公司(MTRC)が開通の時期を2018年第3四半期へと延期することを明らかにしている。同区間は当初、15年開通を計画していたが、建設遅延で17年末に予定を繰り下げていた。香港特区政府運輸・房局の張炳良局長が6月30日に明らかにしている。
工事予算も再度見直された。工事費用として、MTRCが新たに853億香港ドル(1兆3500億円)の見積もりを政府に提出したという。昨年8月の修正予算715億香港ドルから19.3%の引き上げ。着工した2010年当初の予算である650億香港ドルから31.2%も上方修正したことになる。中国新聞網によると、853億香港ドルの予算は、世界一高い超高層ビルであるドバイの「ブルジュ・ハリファ」7棟、または台湾の超高層ビル「101大厦」6棟の建造費に相当するという。
度重なる工期スケジュールの変更と予算の引き上げに香港政府は、MTRCの責任追及を視野に入れ始めた。張局長は、「工期の遅れと工事予算の変更を政府も注視している」とコメント。「これ以上の予算増額は受け入れ難く、また、納税者のみに引き上げ分を負担させることはできない」と苦言を呈し、工事遅延と支出超過による損失の一部をMTRCに担わせる可能性に言及した。
「広深港高速鉄路」は、香港にとって初の高速鉄道。広州と深センの区間はすでに2011年12月に完工した。香港政府は2010年1月、MTRCとの間で香港区間の工事委託契約を結んだ。MTRCは当初、2015年8月4日の完成を予定していが、17年末の変更を申請。工期の遅れに伴って、工事予算も715億香港ドルに上方修正した経緯がある。工期スケジュールの遅延に関しては、住民らの建設反対運動で、着工が遅れたためと説明していた。
【亜州IR】《ZN》