【株式市場・今週の展望】ギリシャ債務問題も雇用統計も不確実な要素
2015年6月30日 11:14
今週、6月第5週および7月第1週(6月29日~7月3日)は5日間の取引。早いもので今年も後半に入る。世界の株式市場の休場日は、7月1日に香港市場が1997年の英国から中国への返還を記念する「香港特別行政区成立記念日」で休場。中国共産党の建党記念日(1921年)でもあるが上海など本土市場は開く。カナダのトロント市場が1867年の英連邦内の自治権獲得・カナダ連邦成立を記念する「カナダ・デー」で休場。タイがバンクホリデー(銀行休日)で休場する。3日はアメリカが「独立記念日」(7月4日)の振替休日で休場。いつもは毎月第1金曜日に発表される雇用統計は前日2日に発表される。
国内の経済指標は6月29日の鉱工業生産指数と7月1日の3ヵ月に1度の日銀短観が重要。6月29日は5月の鉱工業生産指数速報値、商業動態統計速報値(小売業売上高)、自動車各社の生産・販売実績、30日は5月の毎月勤労統計調査(現金給与総額など)、建設機械出荷額、住宅着工戸数、7月1日は日銀短観(6月調査)、6月の新車販売台数、路線価(地価)、2日は6月のマネタリーベース、3日は6月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)が、それぞれ発表される。
7月1日は午前9時直前に「うるう秒」が入るので、東証の取引開始が1秒遅れる。7月1日から9月30日までは夏の節電要請期間になる。2日に日銀から日銀短観の企業物価見通しと、生活意識に関するアンケート調査の結果が発表される。ファーストリテイリング<9983>が6月の国内ユニクロ既存店売上高を発表する。3日に7~9月期の鋼材需要見通しが発表される。
主要企業の決算発表は2月期決算の小売業の第1四半期(3~5月期)決算が主。6月29日はウェザーニューズ<4825>、象印マホービン<7965>、ニトリHD<9843>、30日はUSEN<4842>、スギHD<7649>、スター精密<7718>、しまむら<8227>、平和堂<8276>、UCS<8787>、7月1日はキューピー<2809>、わらべや日洋<2918>、2日はエスプール<2471>、サンエー<2659>、アスクル<2678>、大阪有機化学工業<4187>、ファミリーマート<8028>、アークス<9948>、天満屋ストア<9846>、3日は岡野バルヴ製造<6492>、スリーエフ<7544>、オンワードHD<8016>、チヨダ<8185>、ユニーGHD<8270>が発表する。
3月期決算銘柄の定時株主総会は6月末が期限で、6月29日に東京海上HD<8766>、ANAHD<9202>などが開催し、東芝<6502>の2回目を残して終了する。
今週の新規IPOは1件。6月29日にナガオカ<6239>がジャスダックに新規上場する。大阪府泉大津市が本社で石油精製・石油化学プラント用の内部装置、取水用スクリーン、水処理装置などの製造・販売を行うプラントエンジニアリング関連銘柄。公開価格は1600円。レコード針のメーカー(1990年解散/同名の製造企業が山形県東根市で存続)とは無関係。来週の新規IPOは3件ある。
海外の経済指標は、7月3日が休日なのでアメリカの雇用統計は1日前倒しで2日の木曜日に発表される。翌3日の東京市場はその影響をもろに受ける。7月1日に発表されるアメリカのADP雇用統計、ISM製造業景況感指数、中国のPMIなど注目指標が多い。
6月29日はユーロ圏の6月の消費者信頼感指数確報値、ドイツの6月の消費者物価指数(CPI)速報値、アメリカの5月の中古住宅販売仮契約、30日はドイツの6月の失業率、英国の1~3月期国内総生産(GDP)確報値、ユーロ圏の5月の失業率、6月の消費者物価指数速報値(CPI)、アメリカの4月のS&Pケース・シラー住宅価格指数、6月のシカゴ購買部協会景気指数(PMI)、消費者信頼感指数、7月1日は中国の国家統計局の6月製造業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)確報値、アメリカの6月の新車販売台数、ADP雇用統計、マークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)、5月の建設支出、6月のISM製造業景況感指数、2日はオーストラリアの5月の貿易収支、アメリカの6月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、5月の製造業受注、3日は中国の6月のHSBCサービス業購買担当者景気指数(PMI)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の6月サービス業購買担当者景気指数(PMI)、ユーロ圏の5月の小売売上高が、それぞれ発表される。
6月30日はIMFの対ギリシャ融資(総額17億ドル)の返済期限。交渉で先延ばしになればひと息つく。決裂すればデフォルトで、鬼が出るか蛇が出るか。同じ30日は主要6カ国とイランの核協議の最終合意期限。合意すればイランが輸出向けに原油を増産するので原油先物価格に下押し圧力がかかるかもしれない。7月1日に6月3日に開催されたECB理事会の議事要旨が発表される。
アメリカ主要企業の決算は、独立記念日ウィークでもあり、めぼしいものはない。
前週の日経平均は18日の2万円割れを底に4日で終値ベース878円の急反発。1日平均219円というハイペースだったが、25日は96円安、26日は65円安とクールダウンした。それでも20700円台はキープした。この動きを、ギリシャの債務問題の解決を東京市場が先取りして大幅上昇し、その雲行きが怪しくなったら上値を抑えられましたと単純に語ることはできないだろう。株主総会がピークの週で「信託銀行が売り注文を出しにくい」という事情通が好みそうな事情や、「ロボット」「学習塾」「きもの」「インバウンド消費」「TPP」などテーマ銘柄物色が旺盛になったこと、為替のドル円レートが前々週よりも安定していたことに加え、需給の好転という市場環境の変化もあった。