NYの視点:FOMCメンバーの利上げに関する自信が揺らぐ

2015年6月18日 07:07


*07:11JST NYの視点:FOMCメンバーの利上げに関する自信が揺らぐ

連邦公開市場委員会(FOMC)は、市場の予想通り金融政策を現行に据え置いた。声明では、経済の判断を前回4月会合の「成長鈍化」から「緩やかに回復」に上方修正した。雇用市場の判断でも「緩やかに拡大」から「ペースが加速」へ上方修正した。一方で、四半期ごとに発表されるスタッフによる金利、経済の予測(SEP :Summary ofEconomic Projections)は利上げを支持する結果に至らなかった。

スタッフは2015年の国内総生産(GDP)見通しを前回3月の2.3-2.7%から1.8-2.0%へ大幅に引き下げ。1-3月期のGDPが予想外のマイナスに落ち込んだことが要因でほぼ織り込み済みだったものの、予想以上の引き下げとなった。失業率の予測も2015年は5.2-5.3%と、5.0-5.2%から引き上げられた。更に、スタッフの金利見通しも引き下げられた。3月時と同様、15名のスタッフが依然年内の利上げを予想しているが、FF金利誘導見通しの16年末の予測中央値は1.875%から1.625%へ引き下げられた。17年末も3.125%から2.875%へ引き下げられた。

会合後のイエレンFRB議長の会見からも利上げのタイミングに関し何のヒントも得られなかった。イエレン議長は年内の利上げに関し、「利上げの条件はまだ達成していない」「年内の利上げの可能性はあるが、確固たる保証なし」と述べるにとどまった。イエレンFRB議長は、利上げのタイミングはさほど重要でなく、利上げの過程を重要視すべきだと再三にわたり強調、利上げ後も異例な緩和策を維持する方針を表明した。このためドルの上昇ペースもかなり緩やかなものになる可能性がある。《NO》

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