【Newsで一枚】巴工業の山本仁社長
2015年6月12日 16:23
■北米油井関係が減少だが、今期利益堅調、国内の下水処理、中国の炭化装置好調
巴工業<6309>(東1・売買単位100株)の山本仁社長は移転したばかりの真新しい新本社で2015年12月期・中間決算説明会を行った。
メーカー機能と商社機能を併せ持つ。売上構成は機械製造販売事業が約24%、化学工業製品販売事業が約76%である。
メーカーとしてはデカンタ型遠心分離機を主力に総合遠心分離機メーカーとして食品、水産、化学、製薬、造船、鉄鋼、電力、下水処理の環境関連向けなどに幅広く手掛ける。とくに、下水処理・し尿処理では1970年代から展開、多くの納入実績を持つ。
一方、商社機能では欧米をはじめ世界中から最先端の化学工業製品を輸入し販売している。
2015年10月期・第2四半期は前年同期比で0.6%増収、営業利益10.5%増益と好調だった。しかし、下期は原油相場下落の影響から米国油井関連向けが減少するため、通期では売上が前期比0.8%減の403億7000万円、営業利益0.5%増の12億8000万円とほぼ横ばいの見通し。
山本仁社長は、「アメリカの油井関連がヒットしたが、最近の原油安で一気に上向くことは難しい。もともとベースとしている分野の石油化学、医薬、食品などにいっそう力を入れていく。とくに、国内では、官需中心に世界一の高性能を持つ高効率省エネルギー型HED型遠心脱水機を下水処理置き換え向け拡販に取り組む。中国向け炭化装置や国内向け掘削汚泥処理にも注力していく」という。
今期の1株利益は103.2円、配当は年45円の予定。
株価は2009年3月の784円をボトムに着実な下値切り上げの展開。2013年3月に2130円、昨年9月に1950円まで買われ、足元では1700円を挟んだモミ合いとなっている。
シェールガス関連の減少が人気的にやや響いているが、一方で産業機械には欠かせない遠心分離機の最大手であり環境分野、オリンピック、地域再開発に関連して需要の見込めることが評価されている。とくに、自己資本比率74.4%、1株純資産2485円と資産内容の優秀なことも注目されている。PERはほぼ市場平均並みだが配当利回りは2.6%と魅力的水準だ。
シェールガス人気が薄れた分、全般相場に先駆けて動くことは難しそうだが、景気上昇、全般相場上昇と共に上値が期待できるだろう。PBR0.68倍の1700円水準は中期での狙い場といえるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)