建設業界で契約書締結前の図面作成は「無償の営業活動」になるとの判決が出る
2015年6月10日 07:55
あるAnonymous Coward 曰く、 とある建築設計事務所が顧客との契約締結前に作成した計画案や各種図面について、設計料を求めて裁判所に提訴したという。しかし、裁判所はこれらについて「営業活動である」と判断、この事務所は設計料を回収することができなかったという(日経アーキテクチャ)。
この事務所は、顧客が銀行融資を受ける際に必要とのことから契約書の締結前に計画案を作成し、各階平面図や全体工程表、概算工事費などを顧客に提出していた。その後、設計事務所は基本設計料(約2000万円)を顧客に求めたが、顧客は契約締結前であり、銀行の決済もまだであるとして、これを拒否したという。
これについて「口頭黙示的でも契約は成立する」とし東京高裁まで争われたが、裁判所は、銀行融資が得られるか不確定な時点であったことを理解し、「建築設計会社の営業活動の1つと考えられる」「契約締結まで至らなかった場合は、建築設計会社は顧客に対し営業行為の報酬請求を行わないのが通例」として、費用請求を認めなかった(日経アーキテクチャ別記事)。
なお、今月施行の改正建築士法においては、延べ面積300平米m2超の建築物については契約書の締結が義務化されるが、義務対象外の案件についても契約書締結をめざすべきだと記事では述べている。
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