急性不眠症に高い効果を発揮するセラピーが開発される
2015年6月10日 12:31
あるAnonymous Coward 曰く、 ノーザンブリア大学の研究者らが1時間の認知行動療法を用いたセッションで急性不眠症の患者の睡眠の質を向上させることに成功したとのこと(Gizmag)。
米国では4人に1人が何らかの不眠に悩んでいるといい、経済への影響は6300億ドル(約79兆円)にも上るという。不眠は特にストレスや不安によって引き起こすとされ、既存の治療法としては薬物や専門家によるセラピーなどが存在する。初期の不眠は急性不眠症とも診断され、不眠の症状が2週間以上かつ3か月未満の患者を指す。また、3か月以上症状が続く場合は慢性不眠となる。
今回発表された研究は初期の不眠に高い効果を発揮するセラピー手法であるとのこと。研究では40人の急性不眠症の患者を2つのグループに分け、片方のグループは自助的アプローチの冊子を渡され、かつ研究者との1対1の1時間のセラピーセッションを受けた。もう片方のグループは対照群として何のサポートも受けなかった。
セラピーの内容は寝床にいる時間を制限するものであり、睡眠ルーティンを効果的にするために一定した就寝時間と起床時間を設定するが、同時に眠れないといった理由でイライラが募り始めたら寝室を出るという「15分ルール」も設定した。
寝室を出るという行動により寝室とイライラや怒り、惨めさなどの感情と寝室との関連性を断つことができるという。またこの「15分ルール」では寝室を出てから何をしてもよく、ただし眠くなってからでないと寝室に戻ってはいけないというもので、これにより寝室と「目が覚めた状態」との関連性を断つのに効果があったとのことだ。
セラピーを受けた患者の60%が1か月後には睡眠の質の向上を報告し、この割合は3か月後には73%にまで上がったとのこと。これに対し対照群で3か月後に睡眠の質が向上したのはたった15%であった。
3か月を過ぎると症状は慢性不眠症へと進み、うつ病にかかりやすい状態となるため、急性不眠症の段階で症状を改善し慢性化させないことが非常に重要とのことだ。
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