NYの視点:米Q1労働生産性は22年ぶりの2四半期連続マイナス

2015年6月5日 06:52


*06:52JST NYの視点:米Q1労働生産性は22年ぶりの2四半期連続マイナス

グリーンスパン元FRB議長が米国経済の状況を見極めるために好んで使用していた労働生産性は昨年第3四半期にピークをむかえたのち低下傾向にある。米労働省が発表した本年の1-3月期の労働生産性は前期比3.1%減と、昨年10-12月期に続き2四半期連続のマイナスとなった。2四半期連続のマイナスは1993年以降22年ぶり。単位労働費用改定値が前期比6.7%増と予想の6.1%増を上回り上昇幅が1年ぶりの大幅となったことは、好感材料と捉えられた。しかし、最近の非管理職の賃金は逆に減少傾向にあり、結果は国民の83%を占める非管理職の賃金動向を示したものではないことは明白。いくら連邦準備制度理事会(FRB)が数十億の資金を供給しても景気が成長しない理由が悪天候以外にもあるようだ。

国際通貨基金(IMF)は米国経済に関する報告の中で、引き続き「成長継続の基盤がある」としながらも成長率見通しを引き下げた。同時に、連邦公開市場委員会(FOMC)に利上げ開始を2016年初期まで遅らせるよう要請。ドルは緩やかに過大評価されており、成長や雇用の足かせになると指摘した。IMFの要請が実現するケースは多い。IMFは欧州中央銀行(ECB)に量的緩和(QE)の導入を数回にわたり呼びかけた。ドクタードゥームとして知られるスイスの著名投資家マーク・ファーバー氏は、連邦公開市場委員会(FOMC)は利上げどころか量的緩和(QE)第4弾を実施することになるだろうと指摘した。米労働省が発表する5月の雇用統計で金融政策の鍵となる雇用や賃金の動向をさらに確認、米連邦公開市場委員会(FOMC)がIMFの警告を無視して年内の利上げに踏み切るかどうかに注目が集まる。《NO》

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