北大、地殻内からナノダイヤモンドを発見
2015年6月4日 17:06
北海道大学などの共同研究チームは、地殻内の低温・低圧の条件で、かんらん岩が水や二酸化炭素と反応してできた蛇紋岩(じゃもんがん)を分析し、大きさが数nm(ナノメートル)のナノダイヤモンドを発見した。
地球で天然に産するダイヤモンドは、地下100kmより深い高温・高圧の条件で形成されたと考えられている。しかし、実験室では、地下10kmよりも浅い条件に相当する温度500°C以下・圧力 1000気圧以下の条件でダイヤモンドを作ることができる。
今回の研究では、イタリアのシチリア島Hyblean高原で採集した蛇紋岩中の炭素質物質を、顕微ラマン分光法や透過型電子顕微鏡等を使って分析した。その結果、大きさが2~10nm程度のナノダイヤモンドを発見した。このナノダイヤモンドは、かんらん岩が水及び二酸化炭素と の反応で蛇紋岩に変わる時に、ほぼ同時に形成されたと考えられる。
また、化学反応の起こる条件やナノダイヤモンドの大きさなどから、温度300°C以下・圧力1000気圧以下の地下5kmより浅い地殻でナノダイヤモンドの形成が起きたことが分かった。地球上で天然に産出するダイヤモンドとしては、はじめてダイヤモンドの安定領域外の低温・低圧でできたものを発見したことになる。
今後、有機物を含む堆積岩や石油中などからもナノダイヤモンドが発見できることが期待される。