空き家管理ビジネス花盛り「空き家対策特別措置法」完全施行
2015年5月26日 11:40
5月26日の「空き家対策特別措置法」が完全施行され、空き家管理ビジネスが花盛りだ。
大京<8840>グループで不動産流通事業を手掛ける大京穴吹不動産は、「空家巡回サービス」を5月 1日から開始した。月に1度巡回し、通気、換気、簡易清掃、通水、郵便物確認、雨漏り、カビ確認などの点検を行う。一戸建ての場合には庭木などの確認も行う。料金はマンションが1カ月8000円(税抜き)、一戸建てが9000円(同)。同社が保有する全国65営業拠点で対応する。
一方、大和ハウス工業<1925>のグループ会社である日本住宅流通は、大和ライフネクストと連携し、「空家巡回サービス」を5月18日に開始した。
対象は、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県、滋賀県の同社営業エリア内の戸建て住宅(敷地面積90平方メートル以上)と分譲マンション(40平方メートル以上の専有面積)。利用料金は戸建住宅が月9720円(税込)、分譲マンションが月5400円(同)。同社では、オーナーに対して、状況に応じて賃貸やリフォーム、売却などを提案する。
さらに、神奈川県横須賀市に本社を置くウスイホームは、7月から神奈川県内で「空き家巡回管理サービス」を開始する。戸建の屋外のみを巡回する「戸建[外周]プラン」、戸建の室内を巡回する「戸建[室内]プラン」、空き地を巡回する「空き地プラン」、マンションの室内を巡回する「マンションプラン」の4種類の基本プランを用意している。
「住宅・土地統計調査」(平成25年)によると、全国の空き家数は820万戸、総住宅数に占める空き家率は13.5%と過去最高となった。防災、治安、景観などの点で、空き家の拡大は深刻な問題となりつつある。
こうした状況に対応し、「空き家対策特別措置法」が5月26日に完全施行される。倒壊や衛生上の問題などがある「特定空き家」を自治体が決め、除去や修繕の指導、勧告、命令できるようになる。勧告に従わないと、住宅が建つ土地への固定資産税の優遇がなくなる。また、命令に従わないと、自治体による強制撤去も可能になる。もはや、空き家の管理は疎かにできない。空き家管理ビジネスが、急速に脚光を浴びつつある所以だ。(編集担当:久保田雄城)