岡山大、心臓の穴を閉じて片頭痛を治す国内初の治療を開始
2015年5月26日 21:49
岡山大学の赤木禎治准教授らのグループは、片頭痛患者に心臓の微小な穴がある場合にカテーテルを用いてその穴を閉鎖する治療を6月に開始する。
卵円孔と呼ばれる心臓の微小な穴は、胎児期に血液を全身へ導く重要な構造で、出生後には自然に閉鎖する。しかし、15~25%は成人に達しても閉鎖せず、脳梗塞の原因になる場合がある。また、脳梗塞の前兆(キラキラした光が見える、眼前暗黒感、感覚異常など)がある片頭痛の患者は、卵円孔が開存している可能性がある。
岡山大学では、平成24年から奇異性脳梗塞の再発予防を目的とした心房中隔欠損症や卵円孔開存のカテーテル治療を実施しており、脳梗塞患者を調べたところ38人中19人が片頭痛を経験しており、カテーテル治療後に片頭痛が消失(13人)、もしくは著明に改善(5人)していることが分かった。
現在は、カテーテル治療の対象は脳梗塞を発症した患者の再発予防だけに限定されているが、同大学は、国内で初めて脳梗塞の発症に関わらず、片頭痛で困っている患者に卵円孔が認められた場合、卵円孔のカテーテル治療を実施することにした。
片頭痛の原因は多岐に渡っており、この治療がすべての人に効果を表すものではないが、片頭痛の原因が卵円孔開存と関連が深いと判断される場合には、この治療によって頭痛そのものが消失するなど、薬物治療とは別の新しい治療技術になる可能性がある。